KITAKAMI NEWS

【市民ライター投稿記事】あいさつ・あんぜん・ありがとう ~子ども見守り隊~

2023年6月16日

市民ライター 赤平恵里

きたかみリズムをご覧のみなさん。こんにちは。市民ライター3年目「赤平恵里」です。最近は「記事読んだよ〜」「頑張ってね〜」と励ましの言葉もかけて頂けるようになり、とても嬉しく思います。

 

 

今後もみなさんの心に響くような記事を書き続けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 

 

さて、新年度が始まって2か月経過しましたが、みなさん毎朝どのように過ごされていますか?

 

 

朝は一日のうちで一番忙しい時間帯。わたしも家族の中で誰よりも早く起床し、朝食準備やお弁当作り、その他諸々…。

 

 

「やることだらけで猫の手も借りたい!!」

 

 

我が家の朝はちょっとした“ドタバタ喜劇”のようです (笑)
子育て世帯はおそらく、どこのご家庭も同じ。特に、今年度小学校に入学したばかりの新一年生やご家族の方々は、一日の生活リズムを整えるのに一苦労されたのではないでしょうか?

 

 

「幼稚園の時は、自家用車か送迎バスを利用していたから…」

 

 

「自宅から学校まで距離があって、ちゃんと歩いていけるのか心配…」

 

 

通学する子どもたちはもちろん、送り出す保護者も悩みは尽きませんよね。

 

 

でもご安心を!みなさん、朝の通勤・通学の時間帯、通学路上に立っているこのような方々、見かけたことありませんか?

 

 

▲黄色いジャンバーに黄色の帽子

 

 

▲横断歩道のないT字路でも見かけますね

 

 

▲みなさん、誘導灯や黄色い横断旗を手にしています

 

 

実はこの方々、通学する子どもたちの安全を願い、登下校時の見守りボランティアをされているんです。

 

 

北上市内では、各地区にこのような防犯・見守り団体が複数存在しています。こういった団体に在籍し活動されている方の総数は、おおよそ500。活動する時間帯、見守る対象、地域によって「防犯隊」「指導隊」など名称もさまざまです。

 

 

例えば、わたしの自宅がある「黒沢尻北地区」では、「子どもを見守る会」という団体があり、子どもたちや地域住民からは愛称で「見守り隊」と呼ばれています。会員の中には、元警察官や元刑事さん、元看護師さんといった、防犯や救急のスペシャリストもおり、他方面から地域の子どもたちの安心、安全にご尽力下さっています。

 

 

登下校の“見守り”と言っても活動スタイルは自由。みなさんご自身の生活パターンに合わせ、無理のない活動を行っています。

 

 

▲愛犬のお散歩を兼ねて、徒歩で同行。

 

 

▲横断歩道上での誘導。最後尾の子どもが渡り終えるまでしっかり見届けます

 

 

▲黒沢尻北地区 「子どもを見守る会」代表 篠原 忠(しのはら ただし)さん。

 

 

写真の篠原さんはもう10年以上も、この活動を続けているそうですが、「それでも自分はまだまだ(活動歴が)浅い方ですよ」と話します。

 

 

篠原さんが活動を行っているこの辺りは、通学する子どもたちにとって、危険の多い“難所”とされている地点です。

 

 

北上市内はここ数年で、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化しました。北上工業団地の拡張整備事業に伴い、大型の工事車両が頻繁に出入りしているほか、農地の宅地転用も進んでいます。

 

 

数年前と比較して交通量もかなり増加していることから、特に危険が予想される場所では複数人で見守りを行うなど、安全確保のための取り組みが行われています。

 

 

▲しっかり手を挙げて!体操着、給食着、上履き…週はじめは持ち物が多くて特に大変…新1年生も頑張っています。

 

 

わたしが取材に訪れたこの日(令和5年5月末頃)も、子どもたちは自らすすんで見守り隊の方に挨拶し、元気に登校していきました。小学生だけでなく中学生や高校生も、見守り隊の方を見かけると自然と笑みがこぼれます。

 

 

「おはようございま~す♪」「行ってきま~~す!!」

 

 

自転車で颯爽と通学して行く姿も見られました。
わたしも中学・高校時代は自転車通学でしたが、学校までの道のりは平坦ではなく…。「運転中、目に小さな虫が入った!」「朝から時間をかけてセットした髪が、雨風で落ち武者状態…ショック(泣)」

 

 

こんなこと、しょっちゅうありました(笑)

 

 

「歩くより楽〜!!」と初めは安易にそう思っていたのですが、毎日のこととなると自転車も結構大変なんですよね〜。
今まさに現役の学生のみなさん、めげずに頑張って下さいね~。

 

 

このように、地域の子どもたちの幸せを願い、日々活動する見守り隊の方々。自発的な社会貢献活動に報酬などはありません。それでも、こうして長期間活動を続けているのには人それぞれ様々な理由があるようです。

 

 

 

 

☆見守り隊の方々数名にお話を伺いました☆

 

 

『子どもたちのためと言うけれど、半分は自分のため。日々の日課として生活の一部になっている。歩くのは健康にも良いし(笑)』

 

 

『その子どもの一日の様子は、全部顔に書いてある(笑)。朝、登校するときにはパッとしない顔をしていても、下校の時に見るといきいきとした、いい顔をしている。それだけで、今日一日学校で有意義に過ごしたんだなぁとすぐ分かるし、こちらも元気がもらえる!』

 

 

『家でテレビばっかり観ていても、電気代がかかるだけだしね〜(笑)それより外に出て動いていた方が経済的』

 

 

と、こんな風にみなさん前向きで明るい方々ばかり。

さすが人生の師匠! わたしも見習います(笑)

 

 

▲見守り隊の方々は、黒沢尻北小学校3年生が2019年から毎年行っている「地域安全マップ作成・フィールドワーク」にも同行。必要に応じてアドバイスをしたり、学習面のサポートもしています。※2021年の記事で詳しくレポートしています。こちらから是非ご覧下さい!

 

 

そんなバイタリティーあふれる見守り隊のみなさんですが、たまには私用や体調不良で不在の日もあるそうです。すると翌日、子どもたちから「昨日いなかったけど、どうしたんですか?」と心配されるんだとか…。

 

日々のコミュニケーションを通じて、子どもたちの“他者に対する思いやりの心”も順調に育まれているようです。

 

ただ、その一方で課題もあります。見守り団体に所属する方の高齢化がすすみ、体力的な面から勇退される方も少なくないそうです。市内各地区で同じような傾向が見受けられ、全体数は年々減少しつつあります。

 

「例えば、買い物のついででも構わないし、若い方にも活動してもらえると嬉しいんだけどね…今の時代、みんな仕事しているからなかなか難しいのかなぁ…」

 

そういった声もありました。
各地区の自治振興協議会などではこうした課題の解決に向けて様々な話し合いが行われています。
黒沢尻北地区の担当者は、「黄色の目立つ服装が(活動に参加する)ハードルを高くしているかもしれない…もっと普段着に近いものに改善できないか検討中」と話していました。

 

 

 

 

令和5年度・黒沢尻北地区「子どもを見守る会」開始式が行われました!

 

 

今年度(令和5年度)の会員は、継続と新任の方合わせて総勢22名。(※開始式に欠席された方も含む)
この式には、市のスクールガードリーダー「中島 幸治」氏、常盤台交番「佐々木 英仁」所長や小・中学校の先生方も来賓として出席。ひとりひとり自己紹介をした後、今年度の決意表明等が行われ、新体制でのスタートとなりました。子どもたちを受け入れる学校側と地域の方々との間で、多様な意見交換も行われました。

 

 

▲令和5年4月10日 黒沢尻北地区交流センターにて

 

 

 

☆先生方からの声を集めました☆

 

 

知り合いのお孫さんだから” “近所の顔見知りだから” というお気持ちもあるのでしょうが、お一人お一人の言葉から、「子どもたちは地域の宝。その安全を守る手助けになりたい」という思いが伝わりました。毎日の見守り活動は、誰しもできることではありませんが、会員の皆さまは決して大上段に構えている訳ではないのです。「心は見えないが、思いやりは見える」そんな言葉が頭をよぎりました。温かな思いを子どもたちに毎日届けて下さっている見守り隊の皆さまに心より感謝申し上げます。(黒沢尻北小学校・千田剛 校長先生)

 

中学生にとっても、見守り隊の皆さんは非常にありがたい存在。小学校時代からずっとお世話になっている見守り隊の皆さん。中学生に対しても、挨拶だけではなく、普段と違う様子の生徒には「何かあったの?」等と声をかけて下さり、地域の皆さんに守られている安心感があると思います。(上野中学校・高橋亨 校長先生)

 

暑い夏の日も、寒い冬の日も、雨風の日も、登下校時に通学路に立っていて下さる「子どもを見守る会」の方々。児童が安心・安全に登下校できるのも皆さまのおかげです。開始式でも沢山の笑顔に出会いました。「先生、今年も頑張るよ!」「いつも絆創膏やティッシュを持参してるから。」「なんかあったらすぐ知らせるよ!!」「見守ってるんじゃない、見守られているのは俺たちの方だ。」「毎年、子どもたちから感謝の手紙を頂いて宝物になっている…」「若返る気分だ」など、素敵な会話がはずみます。見守り隊の方々こそ、地域の宝です。(黒沢尻北小学校・生徒指導主事・菊池利恵子先生 )

 

 

 

 

わたしを含め、子育て中の保護者は、毎朝自分の子どもを学校に送り出すだけで精一杯。家事や仕事もあり、「登下校の付き添いまではなかなか手が回らない…」というご家庭がほとんどではないでしょうか。地域の方のこういったバックアップがあるから、保護者は安心して子どもを学校に送り出すことができています。

 

 

変化の激しい世の中ですが、ずっと変わらないでいて欲しい「安心できる温かい場所」。その環境づくりに自らすすんで協力し、北上の子どもたちを支えて下さっている、各地区見守り会員の皆さまに心から敬意を表します。

 

 

 

 

《見守りボランティア 大募集!!》

 

 

北上市内の各地区では、子どもたちの登下校や校外活動時の見守りをして下さる方を随時募集しています。
隙間時間や、何かのついで「ながら見守り」で構いません。ご興味のある方活動してみませんか?

 

 

※具体的な活動内容や時間帯などはその団体によって異なります。詳細について知りたい方は、お住まいの地域づくり組織(各地区交流センター)までお気軽にお問い合わせください。

 

 

【取材協力】
◆黒沢尻北地区「子どもを見守る会」会員のみなさま ◆黒沢尻北地区自治振興協議会 ◆北上市立黒沢尻北小学校 ◆北上市立上野中学校 ◆北上市地域づくり課生活安全係

 

 

【写真協力・提供】
◆北上市立黒沢尻北小学校(千田 剛 校長先生) ◆黒沢尻北地区自治振興協議会・地域づくり推進員(上野 泰照 様)