KITAKAMI NEWS
【市民ライター投稿記事】心をつなぎ 未来を育む ~コミュニティ・スクール~
早速ですが皆さんは、地域の子どもの様々な学びや体験を支えるために、「学校」と「地域」をつなぐ、「地域コーディネーター」をご存知ですか?
県内でも既に導入されているところもあり、「名前は聞いたことがある」という方もいらっしゃると思います。
これは、保護者や地域の方々の中から、「地域コーディネーター」として市が依頼。学校が手伝って欲しいことと、地域の人が手伝いたいことを結びつける という取り組みで、北上市でも今年度からこの「地域コーディネーター」による活動が始まっています。
今回わたしは、地域の子どもたちとその活動をサポートする方々にもスポットライトを当て、学びの様子をお伝えしていきたいと思います。
まず、初めにこの「地域コーディネーター」。具体的にどのような活動をしているのでしょうか?
内容は様々ですが、身近な活動としては、見守り活動があります。子どもたちが校外で学習活動を行う際、安全円滑に行えるよう、サポートやアドバイスなどを行います。
例えば、9月に行われた「 黒沢尻北小学校(3年生)」による「地域安全マップの作成」。これは、復興教育の一環として3年前から行われています。わたしもサポーターのひとりとして(黒北地区)地域コーディネーターさんに同行取材させていただきました。
2日間にわたって行われた“フィールドワーク”では、子どもたちが5~6人の各班に分かれ、それぞれのコース内における交通上の危険や、不審者がいそうな暗がりなどを点検しながら歩き、記録。マップ作りの素材にする写真撮影も全て自分たちで行います。
実際に歩いてみると、多くの「気づき」がありました。また、わたしが同行して特に驚いたのは、子どもたちの考察力。現状はもちろん、「冬に雪が降ったら…?」「建物の老朽化問題」など、一歩先を想定した危険予測ができていました。更に、「どの角度から写真を撮ったらいいか?」「記入はこれで大丈夫か?」わかりやすいように色違いのシールを貼ったり、熱心にメモをしたり…
でも実は。この真剣さが意外な落とし穴…。
記入に気を取られ、後ろから来る車に気付かなかったり、歩道をはみ出してしまったり…。地域コーディネーターさんは様子を見ながら、子どもたちに危険が及ばないよう声をかけます。
「見通しが悪いから、しっかり手を挙げて渡ろうね!」
「ここは道幅が狭いよ!写真だけ撮って広い歩道に出てから記録しよう!」
何かに集中していて、周囲への注意が気薄になることは大人でもよくあります。そんな時、全体を見て状況を判断し、サポートしてくれる人がいたら助かりますよね。
また、子どもたちはこの活動中、地域にある「子ども110番の家」も訪問。
「困った事があった時には駆け込んでもいいですか?」
「今までにそういった人はいましたか?」
という質問に
「今までにそういうことはありません。でも、困った時にはもちろん!遠慮しないでいつでも訪ねてきてね!」
「お勉強はそんなに頑張らなくていい!今はとにかくたくさん遊びなさい!それがいちばんの勉強!!(笑)」
地域の皆様の心温まる対応とお声がけに、子どもたちも安心した面持ち。困った時、自宅以外にも頼れる場所があるって心強いですよね。
みなさんの優しいお声がけに安堵したのと、たくさん歩いて体力消耗したのが重なり、コンビニで陳列されている商品を前にすると
「あ〜腹減ったぁ…お菓子いいなぁ…食べたいなぁ…」
と思わず本音がポロリ……(笑)
「学校に戻ったらおいしい給食が待ってるよ!今日はデザートもあるし、もう少し頑張ろう!」
ここでも地域コーディネーターさんや、保護者さんに励まされ、無事2日間のフィールドワークを終えました。
こうして出来上がった『オリジナル地域安全マップ』
毎日徒歩で登下校している子どもたちならではの視点で、多くの危険を見つけていました。
学校では現在、地域コーディネーターさんを交え、このマップの地域活用を模索、検討中とのこと。子どもたちのこうした活動が、地域企業や住民の安全、安心にも繋がっていくとさらに素敵ですよね。是非、実現して欲しいです。
今回、同行取材させていただいた(黒北地区)地域コーディネーター、平野さんと竹内さん。お2人は「学校図書ボランティア」としても活躍されています。そしてわたし自身もメンバーの一員。この期にお話を伺ってみました。
Q1 北上市の目指す「コミュニティ・スクール」の取り組みについてどのように思われますか?
平野さん:市が掲げる理念を目標に、学校と地域の協働活動を更に推進したいと思っています。
竹内さん:これは、未来を担う子供たちの学びや成長を支える活動を「学校・地域・家庭」が協働で行うことです。学校だけでは難しい点も、地域の方々に協力していただければ子どもたちはより多くの経験ができるようになります。北上市がこういった取り組みを行っているのはとても素晴らしいと思います。
Q2 これまで実働して感じたこと率直にお願いします。
平野さん:小・中学校の先生方、地区の交流センターの方々、市生涯学習文化課担当者と相談しながら活動を進めてきました。ご協力頂いた地域の児童委員、民生委員、子どもを見守る会、北小図書ボランティアの皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。学校や子どもたちの学びに関わり、少しでもお手伝いできて嬉しく思っています。
竹内さん:「地域コーディネーターって何だろう?」という所からのスタートで不安もありました。この仕事は地域と学校を繋ぐのが役目。地域の方々の協力が不可欠です。皆さまの経験してきたことを活かせる場でもあると思います。是非一緒に形にしていきたいです。
Q3 今後どのような事を期待しますか?また、北上市がこれからどんなまちになって欲しいですか?
平野さん:活動に協力していただける方を増やし、協働活動をより充実させたいと思います。市の文化・スポーツ施設が更に充実し、したいことができるまちになったら嬉しいです。
竹内さん:このコロナ禍で、楽しみにしていた学校行事やスポーツ活動、遊びができなくなり、子どもたちは不安やストレスを抱えています。更に学習においては、ICТ機器を活用した学習等、新たな取り組みも始まっており、子どもたちは大きな変化の中にいます。学校では子どもたちも先生方も、こうした課題に試行錯誤しながら励んでいます。今後自分の周りに教育に関心を持つ方がますます増え、地域全体で子どもたちを支え育てていくまちに是非なっていって欲しいです。
「地域コーディネーター」の取り組みを推進する 市の担当の方にもお話を伺いました。
北上市まちづくり部生涯学習文化課生涯学習係 主査 島田晶夫さん
※コロナ禍の折、書面によるQ&A形式で対応して頂きました。
Q1 仕事のやりがいはどんなところですか?
長期的なビジョンのもと、市民と一緒により良い地域社会を作る仕事に携わることができることにやりがいと責任を感じます。充実した教育環境や豊かな生涯学習の提供を通じ、市民の喜びや笑顔に繋がるなど、皆さんと直接関わることができるのも楽しいです。
Q2 取り組みを通じて、これから北上市がどんなまちになって欲しいですか?
生涯にわたって郷土文化を愛し、多様性社会において自ら道を切り拓き続けることができるまち。子どもから大人までそれぞれのライフステージを楽しく過ごし、笑顔あふれる”うきうき”するまち。また、新しいことに挑戦する人や企業を応援し、「挑戦するなら北上市」として市内外から認められる”わくわく”するまち。子ども、高齢者、転入者、海外からお越しの方など、誰もが隔たりなくまちづくりに主体的に参画できる。そういったまちになって欲しいです。
学校は、単に “知識を詰め込むための場所ではない” とわたしは思います。どんなに機械化が進んでも、人との繋がりや関わりの中でしか伝えられないものも沢山あります。 「愛郷心」「他者への思いやり」「優しさ」など、地域の皆さんと一緒に温め、育んでいけたら素敵ですよね。
わたしも家庭において子どもを育てている身。子育ては常に手探りです。予期せぬことが次々起こりますし、悩みも尽きません。でも幸いわたしの周りには、こういった悩みに親身になって耳を傾け、寄り添ってくれる方々がいます。子どもを介した親同士の繋がりに何度も助けられてきました。
母として、こういった環境下で子育てが出来ること。
これも 北上の魅力 。
わたしは心からそう思っています。