KITAKAMI NEWS
一人一人が幸せに歳を重ねていけるように
(広報きたかみ令和2年3月27日号転載)
一人一人が幸せに歳を重ねていけるように
星野 彰さん
岩手県立中部病院・副院長の星野さん(57歳・柳原町)は、同院で緩和ケアと地域医療連携の責任者を務めているほか、市が発行する「わたしのきぼうノート」の普及にいそしんでいます。
星野さんは東北大学医学部を卒業後、消化器外科医として数多くの手術を担当していましたが、一方でがんの再発に苦しむ人がたくさんいることを「もどかしく感じていた」といいます。
ホスピスに関する本や、自宅での最期を望む患者との出会いから、37歳の時に緩和ケアの先進国であるイギリスに留学。
「患者さんは自宅で医療スタッフの訪問をうけたり、ホスピスでボランティアとお茶をするなど、地域一体で支えられていることに驚いた」と回想します。
その後、平成13年の旧県立北上病院への着任を機に、緩和ケアや訪問診療を開始。
地域の医療・介護関係者や行政と協力するうちに、がん患者と家族を支えるネットワークが地域に広がっていきました。
今や自宅で看取られるがん患者は約2割と県内随一の水準になり、多くの患者が自分の希望する場所で緩和ケアを受けながら生活できる体制になっています。
また、星野さんは平成30年に行政や医療関係者、一般市民らと「わたしのきぼうノート」を作成し、心づもり勉強会の講師としても活動しています。
このノートは日ごろの診療や老後の過ごし方などを記すもの。
元気なうちに将来の心づもりをする必要性を以前から感じていたといい、「ノートをきっかけに家族と話し合うことが大切。家族や近所の人と一緒に書いても良いし、勉強会で参加者と一緒に楽しく書いても良い」と星野さん。
「これからも一人一人が幸せに歳を重ねられるようにお手伝いがしたい」と満足そうに顔をほころばせます。