KITAKAMI NEWS
伝統手法の日本酒造りに情熱を燃やし続け59年
(広報きたかみ令和3年11月26日号転載)
伝統手法の日本酒造りに情熱を燃やし続け59年
多田 信男さん
蔵人(くらびと)として59年目、杜氏 として47年目。
酒造りと共に人生を歩んできた磯自慢酒造杜氏の多田信男さん(78歳・成田) は、各分野で卓越した技能者に贈られる令和2年度現代の名工に選ばれました。
「嬉しいが、受賞に見合うお酒を造らなければというプレッシャーもある」と真剣な眼差しで話します。
多田さんが酒造りに初めて携わったのは20歳のとき。
農閑期を利用して、宮城県や茨城県などの酒蔵で修業を積み、31歳の若さで杜氏となりました。
その後も各地の酒蔵で杜氏としての経験を重ね、静岡県焼津市の同酒造には24年前から勤務しています。
「洗いに始まり、洗いに終わる」をモットーに日本酒造りに取り組む多田さん。
「汚れが残っていると味に癖がついてしまう」とのことで、酒を濾す際に使用する袋を1カ月前から毎日洗うという徹底ぶりです。
この手法は多田さんが考案し、全国各地に広まりました。
また、伝統的な麹造りを守り続け、淡麗な日本酒造りに妥協を許しません。
これまでに国際的な鑑評会で最高賞を受賞したほか、平成20年のG8北海道洞爺湖サミットや28年のG7伊勢志摩サミットのシェルパ会議晩さん会の乾杯酒に取り上げられるなど、輝かしい経歴を残してきました。
また、個人の性格に合わせた指導を心掛けるなど、後継者の育成にも注力。
同酒造に在籍する11人は平均年齢が30代でありながら、多田さんを含め4人が杜氏の資格を所持するまでになりました。
「みんなに親しまれるお酒になってほしい。今後も伝統を守りながら基本に沿った手法で、飲み飽きないお酒を造りたい」と語る多田さん。
こだわりの日本酒造りに勤しむ生活が今年もまた始まります。