KITAKAMI NEWS

言葉の力・詩歌の魅力を伝える文学館に

2020年2月28日

広報きたかみ

(広報きたかみ令和2年2月28日号転載)

 

言葉の力・詩歌の魅力を伝える文学館に

高野 ムツオさん

 

高野さん(72歳・宮城県多賀城市)は、前館長の退任に伴い1月1日から日本現代詩歌文学館の館長に就任しています。

大学を卒業後、定年まで中学校の国語科教員として勤める傍ら、俳句に親しんできました。

これまでに句集も多数発刊され、宮城県芸術選奨や蛇笏賞などの賞を受賞しています。

 

現在は、現代俳句協会副会長などを務めながら、河北新報などの俳壇選者として俳句を専門に活躍されています。

また、同文学館で開催している俳句実作講座の講師も務めています。

 

高野さんが俳句に興味を持ったのは、小学4年生の時。

父と行ったお寺での句会で作った作品「夏の雨うるさくひびく夜の寺」が指導者の目に留まり「今日の実感が出ていてとてもいい」と褒められました。

そこから少しずつ言葉の魅力に惹かれていった高野さん。

今でも詠んだ俳句ごとに、当時の状況が生き生きと思い出されるそうです。

 

東日本大震災の際には、自分の目で見たショッキングな出来事を俳句として表現。

その句には季語はありませんでしたが、たくさんの人から共感を得、評価されました。

それまでは、春夏秋冬を楽しく詠うイメージが強かったという自作の句でしたが、震災時は「非日常なことが起こっても、言葉で表現することで、自分たちが前向きに生きる力を俳句から授けてもらった」と、言葉の力や奥深さを感じたと話します。

 

日本現代詩歌文学館は、日本で一つしかない詩歌専門の文学館。

「現代という文字が付いた名前のとおり、今に生きている人たちに足を運んでもらい、詩歌の魅力を知ってもらうとともに、文芸に取り組むための中心となる施設にしていきたい」と抱負を語りました。