KITAKAMI NEWS
持ち主の思いをつなぐピアノ調律師
(広報きたかみ令和3年9月24日号転載)
持ち主の思いをつなぐピアノ調律師
杉澤 康太郎さん
およそ8000の部品から成る楽器、ピアノ。
さらに国内外の多様なメーカーや型があるなど、ピアノを整える調律の複雑さは容易には想像できません。
市役所本庁舎の目の前にある、杉澤ピアノ調律所の杉澤康太郎さん(37歳・二子町)は親子2代の調律師。
「1709年にはピアノの原型ができたといわれています」と流ちょうに歴史を解説します。
父が調律師でピアノが身近にある環境に育ち、調律師を志したのは自然なことだったそうです。
市内の高校を卒業後、養成所で研さんを積み、静岡県で調律師としてのキャリアをスタートさせ、「父と仕事がしたい」と30歳のときに帰郷。
実家の敷地内にある建物を前述の店舗に自ら改装するなどし、現在に至ります。
調律師は、音律・鍵盤のはじき心地・音色の3つを整えることが専門。
ピアノによって個性があり、明確な正解がないため、「持ち主の要望などにも沿いながら調律する」そうです。
また、50年以上と長く使える楽器のため、持ち主の思いに触れる機会も多いといい、「次の持ち主に思いをつないだり、物を大事にすることを伝えたり、ピアノを整える以外のやりがいがある」と語ります。
店舗ではピアノの調律、販売、試奏のほか音楽会などを開催。
また、昨年譲り受けた160年ほど前のスクエアピアノの修理がこのほど完了したとのことで、「いろいろな人が珍しいピアノを演奏できる企画をしたい。ワクワクする」と、芸術文化を地域へ普及することも考えます。
持ち主の思いもつなぐ調律師に誇りをもつ杉澤さん。
「今の目標は体を大事にして老眼と戦いながら一生の仕事にすること」とはにかみながら、しっかりと先を見据えます。