KITAKAMI NEWS

【市民ライター投稿記事】鬼剣舞が教えてくれたこと

2022年1月19日

市民ライター 赤平恵里

 

2022年、明けましておめでとうございます。市民ライター赤平恵里です。
おかげさまで、今期とても充実した活動を行うことができました。引き続き、「きたかみの魅力」をわたし目線でお届けしていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

みなさま、新年いかがお過ごしですか?

 

先日テレビを見ていたら、「サザエさん」のオープニングアニメーションが岩手編になっており、なんと北上の郷土芸能「鬼剣舞」も登場していました。(※10~12月 秋編 1~3月 冬編・放送中) 岩手県内だけでなく、県外からも踊りを習いにくる方がいるほど、全国的にもよく知られた存在ですよね。

 

コロナ禍の現在は、演舞のオンライン配信等も行われ、“この歴史ある郷土芸能文化を世界へ”という動きも各所で見受けられます。ちょうど今、わが子も学校で郷土文化や歴史について学んでいる真っ最中。

 

いい機会なので、今回わたしも子どもと一緒にこの「踊る鬼(鬼剣舞)」の魅力について改めて探ってみることにしました。

 

◆鬼剣舞(おにけんばい)

 

北上地方に伝承されている民俗芸能のひとつ。起源は今から約1280余年前と伝えられています。鬼のような強面な仮面をつけて踊ることから「鬼剣舞(おにけんばい)」と呼ばれていますが、正式には「念仏剣舞」と言います。この「鬼」は一般的によく知られている“悪さをする鬼”とは異なり、「仏(明王)の化身」を表現したもので、よく見ると角がありません。お盆の精霊供養の他、五穀豊穣や無病息災祈願、また結婚式の余興等で披露されることもあり、市民にとって身近な存在です。北上市内には現在、国の重要無形民俗文化財に指定されている「岩崎鬼剣舞」と「滑田鬼剣舞」を含む、全13の団体があり、踊り組によって違った雰囲気が味わえるのも魅力です。

 

▲北上みちのく芸能まつり・鬼剣舞大群舞   (※写真協力:北上市)

 

 

 

「あれ?そういえば…我が家に豆まき(節分)のとき出没した赤鬼(お面)いたよね…?!」ということで、引っ張り出してきて早速比較…。

 

 

▲(左)我が家にある一般的な赤鬼の面(右)鬼剣舞の面

 

 

なるほど…鬼剣舞、確かに角がない!それに「仏さま」と思って見ると…なんだか急にありがたい存在のように見えてきます。

 

わが子からは「赤鬼は怒ったときの誰かにそっくり!」という意見が。
(一体誰にそっくりなんでしょう?母には全く見当すらつきませんが…。)

 

と、その話はさておき…。
鬼剣舞について更に詳しいことを調査するため、先日、子どもたちと和賀町岩崎にある「鬼の館」にお邪魔してきました。
館内に入ってすぐ目に入ってきたのは…

 

▲でっかーーっ!!巨大な鬼の面がお出迎え!どのくらいの大きさかというと…↓

 

 

▲「ぎゃ~!!鼻から吸い込まれる~っ!!」 と、こんな感じです!(笑)

 

 

こちら「鬼の館」は、鬼に関することが一堂に集約された全国でも珍しいテーマ博物館。民俗芸能の定期公演も行われており、郷土芸能文化を直接体感することもできます。但し、ここ最近は新型コロナ感染対策で長期中止となっていたようで、この日は芸能公演の再開を心待ちにしていた方々が大勢訪れていました。

 

今回の芸能公演の出演は「二子(ふたご)鬼剣舞」(令和3年12月5日公演)のみなさん。

 

 

▲公演の様子(演目:後生楽)
▲公演の様子(演目:二番庭)
▲公演の様子(演目:二番庭)
▲公演の様子(演目:二番庭)
▲公演の様子(演目:狐剣舞)
▲公演の様子(演目:狐剣舞)
▲公演の様子(演目:刀剣舞の狂い)
▲公演の様子(演目:一人加護)
▲公演の様子(演目:膳舞)
▲公演の様子(演目:宙返り) お見事!!鮮やかな演舞!!

 

この日は全9演目を鑑賞。途中、北上(二子)に伝わる郷土の伝説を再現した場面では、隣で見ていたわが子たちも「え?なに??どうしたの??」「…?あれ??いつの間に…??」と、どんどん引き込まれていました。後で詳しい解説を聞き、「なるほど!そういうことだったのか~!」と合点がいった様子。

 

核家族化も進んだ今、北上に住んでいても、こういった地元ならではの伝説に触れる機会は滅多に無いのでとても貴重です。

 

奥深くて、知れば知るほどに面白い!全体を通して、踊り手さんの動き一つ一つが力強く勇壮で、掛け声には気迫がこもっていました。さらに間近で見ると迫力と躍動感があり、親子共々とても感銘を受けました。

 

会場全体に目を向けてみると…

 

 

▲肩車され、ステージ上を見つめる女の子。

 

▲なんたらめんけぇ(とてもかわいい)鬼さんです。足の動きに注目!

 

 

▲お子さんに優しく寄り添う鬼剣舞

 

公演の後、多数のご家族が鬼剣舞と写真を撮ろうと並んで待っている姿も印象的でした。子どもたち、「こ、こわい~(´;ω;`)」となりそうですが…。全くそんなこともなく、皆さん和気あいあいとした雰囲気で楽しんでいました。

 

例えばこちらのとっても可愛らしい姉妹。

 

 

 

▲小原あまね ちゃん(6) あずさ ちゃん(4)

 

感想を聞いてみると…

 


「すごく楽しかった!!カッコよかった!!」

 

と即答。お母様によると、鬼剣舞は春の ”展勝地さくらまつり” や、他のイベントでも何度も見ていて、特にあまねちゃんは鬼剣舞が扇を持っている( ・ㅂ・)و このポーズがカッコ良くてお気に入りなんだそうです。

 

ポーズ、バッチリ決まってます!! 厳っつ~い顔の鬼剣舞も、これ見たら思わず表情緩んでしまいそうですよね…(笑)。とっても素敵です!

 

★あまねちゃん、あずさちゃん、そしてお母様、お話できて楽しかったです!本当に可愛かった!そして二子鬼剣舞の皆さま。素敵な演出と演舞、感動しました。ありがとうございました。

 

▲鬼剣舞とおにまるくん (※写真協力:北上市)

 

このような温かいふれあいを通して育まれる郷土愛が、悠遠の昔から続く郷土芸能文化を支えていると改めて感じました。

 

大人も子どもも、わたしたちの興味関心は日々、目新しいものへと移り変わっていくもの。身近なところから外の世界へと視野も広がっていく…。もちろん、それも重要です。でも、「学べること、学ぶべきことは まだまだ地域の中にもちゃんとある!」。

 

鬼剣舞はわたしたちにそう教えてくれている気がしました。

 

 

〜追記〜
子どもと鬼剣舞について色々調べていたら、とても興味深いものを発見しました。こちらの写真をご覧下さい↓

 

 

▲鬼剣舞が図書館に並び、本を借りています!!(※写真協力:北上市)

 

▲スポーツに汗を流す鬼剣舞の姿も…!!(※写真協力:北上市)

 

 

北上の鬼剣舞は文武両道!!実はとっても努力家だったんですね~。素晴らしいっ!!!

 

「鬼剣舞は1日にして成らず」

 

新しい年、わたしもそれこそ「鬼の形相」なんて言われないよう、仏さまのように心穏やかに(←実はこれが何より難儀……笑) 、何事にも精進し続ける人間で在りたい!。そう思いました。

 

2022年、皆さまにとっても幸多き年になりますように…smile٩(ˊᗜˋ*)و

 

【今回の取材先】鬼の館

《参考サイト・文献》
北上市公式ホームページ
北上市発行/岩手県 北上市のひみつ
北上観光コンベンション協会
鬼の館/常置・当日配布解説資料