KITAKAMI NEWS

【20代の肖像】vol.21 他の先生や子どもたちと、 日々の成長を喜べる幸せに感謝。

2021年12月15日

きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑

 

他の先生や子どもたちと、
日々の成長を喜べる幸せに感謝。

 

 

~vol.21 加藤あかり(かとう あかり) 23歳~

 

楽しく、でも安全に。憧れだけではできない仕事。

 

 

「子どもの頃から、自分より小さな子をお世話するのが好きだったんです」

 

 

そう語るのは「認定こども園 専修大学北上幼稚園」で保育教諭(こども園では保育教諭、保育園では保育士という。以降、ここでは「保育士」で統一)を務める加藤あかりさんです。子どもの頃から憧れだった保育士になって3年目。その仕事にもすっかり慣れてきたかと思いきや……。

 

 

「慣れるなんてとんでもないです。今も毎日必死で1年があっという間に過ぎていきます」

 

 

あかりさんは保育士になって1年目で0~1歳児、2年目で4歳児、そして3年目の今年は2歳児を担当していますが、幼児期の心身の発育は早く、加えて年齢ごとの成長の変化、ひとりひとりの個性やクラス全体の雰囲気なども毎年違います。

 

 

そのため、クラスが変わるたび、受け持つ子どもの年齢が変わるたび、毎年ゼロからスタートし、ひとりひとりの個性や成長のスピードと向き合いながら関係を築いていくことに。それがとても難しく、3年目では「まだまだ」なのだそう。

 

 

 

 

 

 

 

あかりさんがこの仕事の大変さを強く実感したのが保育士になったばかりのとき。

 

 

「教育実習では実習期間のなかで1日だけクラスを任せてもらえるんです。そのときは決められたスケジュールのなかで今日は何をやるのかを自分で決めて、1日の流れも管理しながら子どもたちのお世話をするのですが、楽しく過ごせればいいというものではありません。どんなに楽しくてもケガをしてしまったら元も子もないですから。

 

 

ひとつひとつの活動を楽しく、でもケガなく安全に過ごせるようにするにはどうすればいいか……。教育実習のときもそのことを意識してやってはいましたが、1日だけでも大変なのに、実際に保育士になるとそれが毎日になります。その大変さと責任の重さを考えると、1~2年目は何度も辞めたいと思いました」

 

 

しかし、そんなあかりさんが今でも保育士を続けている理由は……。

 

 

▲あかりさんが働いている「認定こども園 専修大学北上幼稚園」はこの春から幼保連携型の認定こども園に移行。利用定員は1歳から5歳まで215名となり北上市内で最大規模。(令和5年度から0歳児を受け入れ予定)

 

 

▲あかりさんが担当するのは2歳児の「あひるくみ」で18名が在籍。

 

 

 

▲雨のため、運動の時間はホールへ。移動する際の安全のためのルールをきちんと伝え、子どもたちを引率するあかりさん。

 

 

▲いっしょに遊びながら、さまざまな子どもに目を向けるあかりさん。

 

 

子どもたちの日々の成長を一番近くで見守れる幸せ。

 

 

「昨日までできなかったことが今日になったらできた……。そんな風にひとりひとりの成長を子どもたちの一番近くで見守り、他の先生や他の子どもたちといっしょに喜べることです」

 

 

この仕事のやりがいを尋ねると、あかりさんは笑顔でそう答えてくれました。例えば、0~1歳児なら今まで歩けなかったのに歩けるようになった。2歳児なら、最初はしゃべれなかったのに自分の名前まできちんと言えるようになった。「遊びたい」「練習したくない」と言っていた4歳児も、最後には踊りやセリフをきちんと覚えて運動会や発表会を最後まで立派にやり遂げた。

 

 

そうした日々の喜びのなかで、最近一番印象的だったのが……。

 

 

「私は歯並びが悪いんですが、その歯を見て『歯、壊れてるよ』と言ったんです。ちょっとショックでしたけど(笑)、でも子どもなりに自分が新しく覚えた言葉を使って一生懸命会話しようとしているんだなと思ったら、そこでも成長を感じてうれしくなって今年一番笑っちゃいました」

 

 

 

▲子どもたちと接するときは「明るく笑顔で」を大切にしていると語るあかりさん。

 

 

そんなあかりさんに、理想の保育士像を尋ねると……。

 

 

「やっぱり一番は子どもたちに幼稚園に行ったら楽しいと思ってもらえる、この先生がいるから幼稚園に行きたいと思ってもらえる先生になることですね」とのこと。

 

 

何度も辞めたいと思ったこともあったそうですが、子どもたちの成長に励まされ、そうした日々を積み重ねて今のあかりさんがあります。

 

 

 

▲子どもたちに幼稚園が楽しい場所だと思ってもらえるように、あかりさんが行っているのが「手袋シアター」。保育士の専門学校の実習時間に手づくりしたのがきっかけで現在も続けているそう。

 

 

 

▲「手袋シアター」は「どんないろがすき」「おべんとうバス」「キャベツの中から」などの手遊びの歌に合わせて手袋に細工したキャラクターやモノを動かし、視覚的にも楽しませる仕掛けで子どもたちに大好評。なかでも上の写真の「おべんとうバス」が大人気だそう。

 

 

 

▲この日は、絵本の読み聞かせでも子どもたちを夢中に。

 

 

 

▲子どもたちが帰ったあとは事務作業も。3歳未満児の場合、月ごとに個別で指導計画をつくり、それに基づいて日々の様子や気づいたことなどを記録し、みんなで共有しながら今後の保育に役立てることも大切な仕事だそう。

 

 

子どもの頃のもうひとつの夢。

 

 

あかりさんが「認定こども園 専修大学北上幼稚園」で働き出したのは今年の4月から。それまでは別の保育園に勤めていたそうですが、同園に転職した理由は……。

 

 

「私は専北(専修大学北上高等学校)の出身で、高校時代は吹奏楽部で活動していました。そこではこの園の運動会の入場行進のお手伝いをしたり、演奏会でいっしょに演奏したりしていたので、園以外の方とも交流する取り組みに魅かれていました。

 

 

ただ、この園は以前まで3歳以上が対象だったんですよ。私は0歳から5歳までできるだけ長く子どもたちの成長を見守っていたいと思っているので他の保育園で働いていたのですが、この春に0歳から受け入れる“認定こども園”になったので、改めてここで働きたいと思ったんです」

 

 

子どもたちとかかわった高校時代の記憶。保育士を志していたあかりさんにとっては、その交流も大切な思い出です。

 

 

そんなあかりさんが子どもの頃から憧れていたのが「保育士」の他にもうひとつ。それが「マーチングバンド」です。

 

 

「専北(専修大学北上高等学校)の吹奏楽部が行うマーチングバンドの発表会を家の近くでやっていたので、小学生の頃から毎年見に行っていました。私自身は記憶がないんですけど、その頃から『専北でマーチングバンドをやる』と親に言っていたみたいで、それくらい専北のマーチングバンドがかっこよかったんです」

 

 

そう語るあかりさんは、夢を実現。憧れだった専北に入学すると吹奏楽部に入り、マーチングバンドで全国大会にも出場。社会人になっても岩手県を拠点に活動するマーチングバンド「ベルウェザーズ」に所属し、大好きなマーチングバンドを現在も続けています。

 

 

「保育士」と「マーチングバンド」……。子どもの頃から憧れていた2つの夢を叶えて楽しい毎日かと思いきや……。

 

 

「とんでもないです。今でも毎日があっという間で。わからないことも丁寧に教えてくださる他の先生方のお陰でやれているだけです」

 

 

そう語っているときも、楽しそうでした。

 

 

 

▲お隣にある「専修大学北上福祉教育専門学校」にて。同校では11月19日(金)に北上市文化交流センター「さくらホール」にて「夢のキラキラ音楽会」を開催。この日は、その練習を見学。

 

 

▲上段は専北でマーチングバンドの全国大会に出場したときの写真。あかりさんはテナードラム(上段右)を担当。下段は岩手県を拠点に活動するマーチングバンド「ベルウェザーズ」のメンバーと。

 

 

▲「あひるくみ」のみなさんで。

 

 

 

 

 

◇加藤あかりさんが働く職場:認定こども園 専修大学北上幼稚園

岩手県北上市鍛冶町1-4-70
Tel/0197-64-6006