KITAKAMI NEWS

あの日から10年 被災者の心に寄り添い続けた

2021年3月26日

広報きたかみ

(広報きたかみ令和3年3月26日号転載)

 

あの日から10年 被災者の心に寄り添い続けた

伊澤 邦晃さん

 

伊澤邦晃さん(75歳・常盤台)は、常盤台てんぼう公園で行われた「東日本大震災3.11 追悼夢灯り(ゆめあかり)」を主催する「黒沢尻22区有志の会」の代表を務めています。

 

黒沢尻北小の児童が制作した夢灯り数百個を灯すなど、住民や事業者が協力して開催する同追悼行事。

その運営を平成26年から担うのが、現在50~80代の地域住民7人で構成される黒沢尻22区有志の会です。

主たる活動は「酒を飲みながら地域の課題解決を検討すること」と笑う伊澤さん。

そして「やれるかどうか」ではなく、「やるためにはどうしたらいいか」を柔軟に考えることが同会最大の強みだと話します。

 

被災者や地域を思い、さまざまな活動に尽力する伊澤さんですが、当初は地域活動に関心がなかったといいます。

転機が訪れたのは、20代から勤めた大手電機メーカーを定年退職した後のこと。

運動会に参加した際に地域の人から、黒沢尻北地区交流センターで働かないかと声を掛けられました。

それを機に平成18年、同センター初代事務長に就任。

交流センター制に移行したばかりで苦労が多かったと話します。

 

そして事務長5年目となる平成23年に東日本大震災が発生。

伊澤さんは、物資提供の依頼のほか、避難者を地域行事に招待したり温泉に連れていくなど、居住後のフォローに奔走しました。

当時のことを「沿岸から着の身着のままで避難した被災者の、呆然とした表情は忘れられるものではない」と振り返り、それが現在まで活動を続ける原点だと話します。

自身のモットー「相手の立場になって物事を考える」を胸に、被災者の心に寄り添い続けて10年。

「避難してきた人たちが、北上に来て良かった、北上で暮らし続けたいと思ってもらえる地域にできれば」と優しい眼差しで今後を見据えます。