KITAKAMI NEWS

【20代の肖像】vol.11　25歳でサロンをオープン！北上市で見つけた自分らしい働き方。

2021年2月17日

きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑

25歳でサロンをオープン！

北上市で見つけた自分らしい働き方。

～vol.11日向香菜美（ひむかいかなみ）　27歳～

東京で1日20人を担当。楽しい反面、募る悩み……。

「私が勤めていたサロンは1日100人ぐらいが訪れるところで、ひとりでいつも20人くらい担当していました」

そう語る日向香菜美（ひむかいかなみ）さんは、東京で働いていた5年間を懐かしく振り返りながら、言葉を続けます。

「仕事は楽しかったですよ。スタッフは18人くらいいたんですが、店長以外は20代。仲も良くて、プライベートも一緒に遊びに出かけて、スノボやサーフィンを楽しんだりしていました」

しかし、毎日ひとりで20人を担当するとなると、お客さまのご要望に的確に応えながら、同時にスピードも求められます。

「そのサロンは小さなお子さんからお年寄りまで幅広い年代の方が訪れるお店で、仕事も楽しかったですし、とても良い経験ができたと思います。

ただ、私が理想としているのは、『このヒトにぜひ私の髪をスタイリングしてもらいたい！』と思ってもらえる美容師になること。そのためには、もっとゆっくりコミュニケーションを取りながら、お客さまのご要望に丁寧に応えてあげられるようにしたいという想いがずっとあって……」

そんなとき、地元の友達から「北上市で面白い取り組みがあるから、そこでお店やってみたら？」と連絡が。

「5年勤めたサロンも辞める予定で次を考えている時期だったし、このタイミングでそういうお話がくるということは『やれ！』ということかと思って（笑）」

2018年4月。当時、25歳。周りもびっくりした日向さんの新しいチャレンジが、北上市ではじまりました。

▲日向さんのヘアサロン「CoCoAquA（ココアクア）」のエントランスからの眺め。

完全プライベートサロンで、自分が理想とする美容師へ。

白い壁にサーフボード、ビーチの写真、星型のオブジェ、そしてアメリカンフラッグ……。大好きな西海岸をイメージした明るい雰囲気の店内が印象的なヘアサロン「CoCoAquA（ココアクア）」には、日向さんの夢が詰まっています。

▲店内は日向さんの大好きな西海岸テイストのインテリアで統一。おしゃれなカフェのような明るい雰囲気が好評で、客層は20～30代を中心に50～60代まで男女を問わず幅広く、遠くは沿岸地域から足を運ぶお客さまも。

北上市のお隣・花巻市出身の日向さんは小さい頃からオシャレが大好きで、友達の髪を3つ編みにしてあげるなどアレンジして喜んでもらえることがうれしかったそう。

そんな女の子が「美容師」になろうと決意したのが中学生のとき。その夢は変わることなく、地元の高校を卒業すると仙台市の美容専門学校へ。

「その学校では美容師だけでなく、メイクや着付け、ブライダルのことなど美容のことをトータルで学ぶことができて面白かったです。

でも一番印象に残っているのは、やっぱり卒業前に体験したサロン実習ですね。1週間ほど実際のお店で働かせてもらうんですが、お客さまと会話しながらイメージの髪に仕上げていく時間がすごく楽しかったんです」

友達の髪をアレンジしてあげていた子どもの頃。そして、初めてのサロン実習で経験したお客さまとのやりとり……。「『このヒトにぜひ私の髪をスタイリングしてもらいたい！』と思ってもらえる美容師に」という日向さんの夢は、そうして喜んでもらえたことが積み重なって生まれたものなのかもしれません。

その夢を実現するために、スタイリストは日向さんだけの完全プライベートサロン「CoCoAquA」は誕生しました。

自分らしい働き方と出会って、未来にワクワク！

日向さんのヘアサロン「CoCoAquA」があるのは、北上市の中心地にある諏訪町商店街の一角。若者や女性の起業を応援するビルをコンセプトとして、2018年4月に誕生したチャレンジショップ「Cokkara（コッカラ）」の2階に、そのお店はあります。

▲チャレンジショップ「Cokkara（コッカラ）」は、「やっぺし」と書かれた赤いロゴが目印。

1階は飲食店が並ぶ屋台村「やっぺし」、2階はビューティ系のお店が揃うモール、そして3階は会議もできる多目的スペースを備えるそのビルのオープンに合わせて、日向さんのサロンもスタートしました。

若者や女性の起業を応援するビルというコンセプトは画期的で、オープン時はメディアにも取り上げられ話題となったそう。しかし、その中にあって日向さんは東京でずっと働いていたため、北上市でいきなりお店を出しても……。

そこで、ネットでヘアサロンを探せる予約サイトに登録すると、おしゃれなカフェのような空間に惹かれてお客さまも徐々に増加。さらに、SNSで話題のカラーやトリートメントの厳選したラインナップに加え、東京で磨いた高い技術力と豊富な経験に裏打ちされたハイセンスなスタイリングが好評を得て、北上市内だけでなく遠くは沿岸地域からもお客さまが訪れるサロンに。

そんな日向さんに、美容師として大切にしていることをうかがうと……。

「今は東京の頃のように1日20人を担当することもありません。スタイリストが私1人だけの完全プライベートサロンなので、どんなに多くても1日のお客さまは7人まで……。東京の頃に比べればお客さまも少ないと思うかもしれませんが、その分、一人ひとりのお客さまとゆっくりコミュニケーションを取ることができます。

初めてのお店って、お客さまも緊張されますよね？そうすると、本当に悩んでいることも打ち明けられないと思うんです。ですから、プライベートの話題も含めていろんなお話をしながら少しずつ仲良くなって、お客さまはなんでも相談できるし、私もお客さまのご要望にはとことん応えてあげられる、そんな関係になれるようにと思ってがんばっています」

そう言って笑顔を浮かべる日向さんが、今一番うれしいのは「1回来てくださったお客さまが、また来てくださったとき」だそう。

東京での経験を生かしながら、子どもの頃からの夢を叶えようと北上市でチャレンジを続ける日向さんは、自分らしい働き方と出会って、これからの未来にワクワクしている27歳でした。