KITAKAMI NEWS

【市民ライター投稿記事】ある冬日の「みちのく民俗村」

2025年2月5日

市民ライター 若山 利夫

冬のある日、雪がやんだのを見計らってカメラを持って愛車とともに出かけることにした。冬の撮影は、少し注意が必要なことを先日学んだばかりである。車のエアコンはオフ!シートやハンドルは暖かく!車内は暖かくしないように・・・カメラを寒さに慣らすためだ。これを怠り暖かいところから急に寒いところへ持っていくと・・・結露が起こる。逆もまた然り!だそうである。

 

皆さんお分かりのように、この時期の木々は常緑樹を除いて枯れ枝になっている。その枯れ枝に白い花が咲くようにこの雪が乗ってくれる。
みちのく民俗村の駐車場まではゆるいが上り坂である。すべらずに駐車場まで行かれれば、第一関門突破である。現に、私のあとに登ってきた軽ワゴン車は、途中で停車したことが仇になって滑って登れず、後退りしていった。

 

 

 

 

私の愛車ダイアナ君は、入口で多少滑ったが、無事駐車できた。
駐車場の直ぐ側、陣ヶ岡への登り口のところのツツジの枯れ枝に・・・
続いて、道の反対側へ!
道を横切る前に山を見上げると、林が白い雪の花に覆われている。きれいだ!

 

 

 

 

道を横切る・・・恐る恐る雪の坂道をわたる。
小さな池がある。その池の畔の木々も花を咲かせている。

 

 

 

 

冬の景色は、確かに白と黒そして晴れていれば青空の青!この三色で構成されるそうだ。
この三色をどのように組み合わせるかが冬の写真の肝だと教えてもらったが、今日はほぼ白と黒の世界。しかし、カメラの設定はカラーである。
そこから少し登って旧菅野家の見えるところまで来た。そこはまだ誰も踏み入れていない真っ白な丘がその古民家まで続いていた。

 

 

 

 

それは堂々と静けさの中に建っていた。この雪に私の足跡を残したいという好奇心を抑えて(本当は坂を登るのが大変そうだから・・・)近づかないことにした。
メインストリートにそって車のタイヤの跡があるのでとりあえずそれに沿って歩いて行くことにした。

 

 

この写真の左手奥に見えるのは演舞場。イベントのときは賑わう場所だが今日は静まり返っている。

 

同じ場所から目を転じて、左手奥に見えるのは旧菅原家だ。この家も堂々とした古民家である。

 

 

 

 

この家に通じる道にも足跡がない。なんだかそこに足跡をつけてはいけないような・・・そのような気持ちが、そこへ行くのをやめさせた。

 

この場所の右手には平安時代の竪穴式住居が復元されている。

 

 

 

 

開口部にはなにか扉のようなものは有ったのだろうか・・・当時の人々の生活を想像することさえできない。ダウンコートのような温かな着るものは当然なかっただろうと思うと、今の暮らしが如何に恵まれているのだろうと感謝しかない。

 

道は僅かに下っている。少し進んだところに小さな池がある。
その池から旧菅原家の方を撮ってみた。

 

 

 

 

建っている灯籠の絵の色と枯れ草の色がカラーであることの証明だ。

 

 

 

 

また、池の周りに建っている灯籠の模様は、なかなか繊細で雪景色との違和感がない。

 

池の横を通り、旧星川家に向かう。この家は、南部曲り家という造りの家である。人と家畜がひとつ屋根の下で暮らす事ができる建物で、岩手県内には多く残されている。ここの家畜はヤギさんである。

 

 

 

 

馬なども曲家で飼われていて、遠野ふるさと村では白雪という馬がいる。ひと目見たときから気に入って時折挨拶に行ってみたりする。
家畜を家族の一員として共に住むという生活の優しさをうかがい知ることができる。
その先に、もう一軒の南部曲り家、旧北川家がある。その家の外壁には干し柿や大根などが干されていて、この時期この地方の保存食としての知恵を知ることができる。

 

 

 

 

この家の庭に当たるところに赤い実をつけた木を見つけた。この時期紅い色の実と白い雪のコントラストは貴重な絵となる。

 

 

 

 

この場所から少し上手にやはり小さな池がある。この池の畔には雪つりをした木があり、旧菅原家を背景に撮ってみた。

 

 

 

 

更にグレーの空には太陽が雪の空の向こうにうっすらと見えている。

日本画的なシチュエーションではないか・・・と自己満足しながら一枚撮ってみた。

 

 

 

 

もと来た道を戻りながら旧菅原家の方角を見ると、枝から雪が舞い降りる時間になったようで、ハラハラと散る花びらのように眼の前を通り過ぎていった。

 

 

 

 

さらに出口に向かって歩いていくと、同じように・・・今度はもう少し重たい雪なのだろうか眼の前を通り過ぎていった。

 

 

 

 

今回の「みちのく民俗村」訪問は、文字通り枯れ木に花が咲いたような場面を想像して来てみた。その想像に難くないこの地であった。されど眼の前のモノトーンの世界を感動的に撮りたいと言う思いとは裏腹に、なかなか写真として見ていただけるようなものか?・・・冬の日の「みちのく民俗村」を多少なりとも知っていただければ幸いである。
この文を書いていて気づいたのは、いくつもある古民家の中で旧菅原家の存在がとても良い位置にあると言うことだった。きっと春夏秋冬皆さんの印象にも残る古民家ではないかと思う。
冬の「みちのく民俗村」は休園のこともあるので、どうぞ確認の上、ご来村くだされ。
以上最後まで読んでくださりありがとうございました。