KITAKAMI NEWS
【20代の肖像】vol.54 チャレンジできる街へ。 “デザイン”で新しい風を。
チャレンジできる街へ。
“デザイン”で新しい風を。
vol.54 菅原光一(すがわら こういち)27歳
「20代の肖像」が縁で結婚、そして第一子誕生へ。
これまで53人(組)の方にご登場いただいた「20代の肖像」ですが、この記事がきっかけでお付き合いがはじまり、昨年ついに結婚! そしてこの6月に待望の赤ちゃんを授かった方が……。
「20代の肖像」vol.16(2021年6月10日掲載)にご登場いただいた菅原光一さんです!
▲「20代の肖像」vol.16でご紹介した当時の光一さん。記事はこちら
光一さんは当時、オーナーといっしょに開業資金を得るためクラウドファンディングに挑戦しながら、「たこ焼き 笑門(わらかど)」のオープンに向けて準備中のときでした。
「笑門」のコンセプトは2つ。まず1つは、店名の由来「笑う門には福来る」の言葉通り、美味しいたこ焼きを通して老若男女を問わず、幅広く地域のヒトに“笑顔”と“小さな幸せ”を届けること。
そして2つ目が北上市で「輝きたい! チャレンジしたい!」と思っている若者たちがやりがいを持って楽しく働き、お客さまとの交流を通して人間力を養っていける場をつくること。
光一さんはこのコンセプトに強く惹かれ、「笑門」で店長として働くことに。
▲本場・大阪で定番の銅板を使用。表面はカリッと、中はトロッとした本場のたこ焼きが「おいしい」と評判に。
当時の記事では「笑門」で働くまでの経緯と、「“周り”に合わせるのではなく、“普通”からはみ出してしまうことを恐れるのでもなく、もっと自由に“自分が面白い”と思える生き方をできるような街にしていきたい」と語る光一さんの想いをご紹介しました。
その後、クラウドファンディングは成功し、無事「笑門」がオープン。店長として光一さんが店頭に立つ「笑門」に、記事を読んでファンとなっていた奥様が通うようになり、たこ焼きといっしょに熱々の愛も焼き上がったのでした。
▲2022年12月に行われた結婚式の様子。ちなみに右のイラストは光一さんが描いたもの。
そんな光一さんに「笑門」で働く日々を振り返っていただくと……。
「笑門では、本当にいろんなことを学ばせていただきました。大変なことも多かったんですけど、それ以上にたくさんのヒトと出会えたことが財産です。
特に学生がたくさんお店に来てくれたことがうれしかったですね。大学に進学して北上を離れる高校3年生の子たちが、大学を卒業したら北上に戻って僕と『いっしょに働きたい』と言ってくれたりして(笑)
将来どうなるかはわかりませんが、少なくともそのときは『北上に戻ってきたい』と思ってくれたわけで、そういう意味では笑門は学生たちにとって居心地のいい場所になれたのかなあと(笑) たこ焼き屋はなくなってしまいましたけど、笑門での2年3ヵ月は本当に貴重な時間だったと思います」
光一さんが語る通り、順調だった「たこ焼き 笑門」はオープンから2年3ヵ月後、2023年9月17日で閉店し、ラーメン店「RAMEN笑門」に業態転換することに。光一さんに何があったのでしょう?
▲北上市が開催している産前教室に参加し、沐浴のやり方を学ぶ光一さん。右は第一子誕生の喜びの瞬間。
“店長”の仕事を通して、“デザイン”の大切さを痛感。
「どうやって新しいお客さまを増やしていくのか、新しいメニューをどうPRしていけばいいのか、もっと多くのヒトに、学生たちに笑門を知ってもらうにはどうすればいいのか……、笑門で店長として働いていると、そういうことを常に考えるようになるんですよ。
そうなるとメニュー表やチラシはもちろん、店舗のつくり方とか、お客さまに来ていただくための店のブランディングまできちんとやっていかないとと考えるようになって、そのためには“デザイン”のチカラが大切だと思うようになったんです」
▲光一さんが手掛けた、「学割」とともに笑門の魅力をPRする店頭ポスター。その効果もあり、「笑門」は学生も多く訪れる店に。
それから光一さんは「笑門」の店長をしながら、独学でデザインを学ぶ日々。表現の幅をひろげるために、今まで描くどころか興味もなかったイラストにも挑戦したそう。
「デザインは、伝えたいことをわかりやすく伝える技術だと思うんです。わかりやすく伝えるためにイラストがあった方がより伝わりやすくなるなら、それも自分で描けた方がいいと思ってイラストの勉強も独学でしました」
「笑門」のメニューやチラシ・ポスターなども自身でデザインするようになった光一さんは、いつしか「笑門」からひろがるヒトとの縁で、ロゴ・チラシ・ポスターなどの制作を依頼されるように。
例えば、北上市のマチナカにある諏訪町商店街を盛り上げ、地域の活性化とコミュニティの再生につなげようと、2023年2月から月イチで開催している「きたかみ朝市」のロゴやポスター、のぼりなどのデザインも光一さんが担当。もともと「笑門」の縁で「きたかみ朝市」の立ち上げから参加している光一さんがデザインの勉強もしているということで、白羽の矢が立ったそう。
そうして少しずつ、さまざまなヒトの縁でロゴやチラシ・ポスターなどの制作に携わっていくうち、改めて「デザイン」とは飲食に限らず、あらゆる業種はもちろん、地域を盛り上げるイベントや地域の魅力を伝えることなどでも大切な役割を担っていると強く実感することに。
「笑門」を卒業し、地域に貢献する「デザイン」の道で新しいチャレンジに踏み出そう……。そう決意した光一さんをあたたかく見守り、後押ししてくれたのが……。
▲毎月第4日曜日に開催している「きたかみ朝市」の様子。地元や近隣の飲食店の人気メニューをはじめ、農家さんの採れたて野菜や遠くは沿岸の海産物が並ぶことも。
▲「きたかみ朝市」の立ち上げから参加している光一さん。「きたかみ朝市」を支えるメンバーと。
チャレンジできる街へ。“デザイン”で新しい風を。
「笑門でお世話になった僕自身がチャレンジャーでありたいという想いもあって……。ナガオカさん(笑門オーナー)に相談したときも快く送り出してもらいました」
北上市で「輝きたい! チャレンジしたい!」と思っている若者たちがやりがいを持って楽しく働き、お客さまとの交流を通して人間力を養っていける場をつくること……。
それが「笑門」のコンセプトの1つであり、光一さんが「たこ焼き 笑門」で働きたいと思った理由だったという話は最初に触れました。
そしてもうひとり、奥様は……。
「反対とかはなかったですね。僕のやることはいつも応援してくれているので、本当に感謝です」
とのこと。
▲「心が穏やかになれるようなイラストを意識して描いています」と光一さん。
2023年9月17日、「たこ焼き 笑門」の営業最後の日は、常連や学生たちが贈り物を持ってお店を訪れてくれたそう。
「学生たちが、お金もそんなに持ってないのにわざわざコンビニでお菓子を買ってプレゼントしてくれて、それがすごくうれしかったですね。最初はこういう働き方に反対していた母親も当日は手伝いに来てくれたんですけど、そういう様子を見て喜んでくれていたのも印象に残っています」
そう語ってくれた光一さん。現在は実家の農業も受け継ぎ、「農業」と「デザイン」の二刀流で活動中です。
「笑門でいろんなヒトと出会って、学生たちと交流していくうちに、デザインを通して地域に貢献していきたい。若いヒトたちも巻き込んでいくような新しい風をデザインのチカラで届けられたらいいなと、今はそう思っています」
3年前の「20代の肖像」出演時も、「もっと自由に“自分が面白い”と思える生き方をできるような街にしていきたい」と語っていた光一さんは自らの言葉をなぞるように、新しいチャレンジで、“デザイン”で地域に新しい風を届けようと奮闘中です。新しい家族ができて、子どもの将来も見据え、デザインを通して地域を盛り上げていきたいという想いをさらに強くしている光一さんでした。
▲今年(2024年)2月、「ニューデザイン」を立ち上げ、デザイナーとして活動をスタート。
▲光一さんが手掛けた作品の一部。
▲実家の農業も受け継ぎ、「デザイン」と「農業」の二刀流で活動中!
デザイナーとして活動する菅原光一さんの取り組みはこちら
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