KITAKAMI NEWS

コミュニティFMと出会って ひろがる大学生の夢

2024年8月13日

きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑

 

 

コミュニティFMと出会って

ひろがる大学生の夢

 

 

vol.53 本田 啓人(ほんだ けいと) 22歳

 

 

 

先輩の鶴の一声で興味もなかったラジオの世界へ。

 

高校生の頃から情報分野に興味を持ち、岩手県立大学ソフトウェア情報学部に進んだ本田啓人さんにとって、「ラジオ」というメディアは別世界の話で、特に関心もなかったそう。

 

 

 

 

そんな啓人さんが北上市のコミュニティFM「きたかみE&Be(いいあんべ)エフエム」(88.8MHz)で学生パーソナリティを務めることになったのは……。

 

「私が大学1年のときに4年生の先輩がいいあんべFMでパーソナリティをやっていて、ある日『もう卒業だから私の代わりにパーソナリティやってくれない?』と言われたのがきっかけでした。

 

当時は『学生でラジオのパーソナリティをやるなんて、先輩すごいなあ』と思ってはいましたが、それをまさか自分がやるとは思ってもいなくて……。最初はすごく抵抗があったんですが、『話すこと好きそうに見えたから』と先輩に言われて、確かに嫌いではないかなと思って(笑)」

 

 

 

 

こうして学生パーソナリティの2代目を引き継ぐことになった啓人さんですが、そこからが大変。先輩に誘われて初めて「いいあんべFM」を見学したのが、先輩がラジオ番組に出演する最後の放送回。しかも、“最後”ということでリスナーさんもスタジオの周りに集まり大賑わいだったそう。

 

それまでラジオに興味もなかったため、ラジオを聴いたこともなかった啓人さんでしたが、その熱気を目の当たりにして……。

 

「これを自分が引き継ぐの? ヤバッ!」と思ったそう。

 

啓人さんは大きな不安と後悔に包まれながら、それからわずか1週間後に先輩と同じマイクの前に座ることに……。

 

 

 

 

自分がやりたいことを実現できる。その環境に感謝。

 

「初めてのラジオだったんですけど、『最初はおしゃべりしていれば大丈夫だから』と言われて、とにかく必死におしゃべりしていました。引き継いだばかりで不安でしたし(笑)

 

 

 

 

でも、自分が話したことに対してリスナーさんからリアクションがもらえると、『聴いてもらえているんだ』と実感できて、それがうれしくて……。展勝地のさくらまつりの中継や開局記念の公開収録ではリスナーさんから名前を呼んでいただいて『いつも聴いてますよ』と声をかけられたりして……。

 

ラジオは基本的には声だけのコミュニケーションですが、SNSでは放送前の様子をアップして番組告知もしているので、そういうのもきちんと見ていて顔まで覚えてくださっているのかなあと思うとうれしくて、すごく励みになりました」

 

そう語ってくれた啓人さんですが、「ラジオ」に興味もないまま先輩の鶴の一声でコミュニティFMの世界に飛び込み、気づけば3年目に突入。現在、啓人さんにとって「いいあんべFM」とはどんな存在なのでしょうか。

 

 

▲先輩のバトンを受けて、大学2年(2022年)4月から夕方生放送の帯番組「ON!ラジ(オニラジ)」(毎週月~木16:00~19:00)の水曜日を担当。写真は啓人さんが学生パーソナリティとなって1ヵ月が経った2022年5月の様子。

 

 

「私がやりたいことを実現させてもらえるのですごく感謝しています。例えば私が『いろんな県大生を呼びたい』とお願いしたらすぐOKをもらえて、自分が興味を持ったいろんな学生さんたちに出演してもらうことができました。

 

『東京でコミュニティFMをやっている大学生たちとオンラインでラジオ番組をやってみたい』というアイディアを出したら、それも実現できたし……。

 

基本的には最初から楽しくやらせてもらっているんですけど、今はすごく楽しくできています」

 

その言葉から充実した日々がよく伝わってきます。

 

 

▲学生という強みを活かし、 “気になる”学生さんを番組に呼ぶ啓人さん。写真左上より時計回りで、劇団ちゃねる元代表・高橋優羽さん、大学生起業家(滝沢ロボティクス合同会社代表)・田尻隼人さん、ラヂオもりおかで学生ラジオ番組を手掛ける岩手大学放送研究室のみなさん、高校の講師をしながら大学院に通う稲垣隼人さんなど、さまざまな分野で活躍する学生さんたちが登場。

 

 

▲展勝地のさくらまつりでは、リポーターも担当。そこで出会うリスナーさんの“声”も励みに。

 

 

「伝える」を仕事に。ひろがる夢。

 

学生パーソナリティの仕事がどんどん楽しくなっていると語ってくれた啓人さんですが、「コミュニティFM」の魅力はどう感じているのでしょうか。

 

「自分も北上市に住んでいますが、北上市のことは実はわかっていない人間で、でもコミュニティFMを聴いていると地域のことが良くわかるし、自分自身もパーソナリティをやりながら、みなさんといっしょに地域のことを細かく知ることができる。それがコミュニティFMの魅力だと思うようになりました。

 

それにコミュニティFMは『防災』という側面も担っていて、例えば北上市に大雨が降ると地域の細やかな情報をリアルタイムで伝えています。そういう視点の情報発信もこれからますます大事になってくると思うし、コミュニティFMの役割はすごく大事だと思うようになりました」

 

 

▲啓人さんが手掛けたチラシ。「いいあんべFM」の名前の由来、開局の狙いはもちろん、ラジオ放送の仕組みや、緊急時の災害情報の伝え方などをわかりやすく紹介

 

▲岩手県立大学4年生の啓人さんは、同大学の防災復興支援センター学生団体「FROM」の発足にも参加するなど課外活動も積極的。写真後列右から2人目が啓人さん。

 

 

そんな啓人さんも今年は大学4年生。来年は就職が控えています。情報分野に興味を持ち、大学ではソフトウェア情報学部に進んだ啓人さんは将来の仕事もIT関連をめざしているかと思いきや……。

 

 

 

 

 

「いいあんべFMでパーソナリティをやらせてもらっているうちに、『伝える』という仕事にずっと携わっていきたいと思うようになりました。今は大学4年生ですが、卒業後は情報系の企業ではなく『伝える』という仕事を続けていこうと思っています」

 

と力強く語ってくれました。大学卒業まで残り8ヵ月。学生パーソナリティとしての仕事も最後まで続けたいとのこと。

 

「今までも番組にはいろんな学生さんたちに出てもらいました。そこで感じたのが、ひとりでやってももちろんいいんですけど、いろんなヒトを巻き込んで、みんなで何かできたらさらに楽しいということです。ですから、これからも“学生”の視点で、まだまだ取り上げられていないヒトもたくさんいるので、いろんなヒトを見つけて、番組に出てもらって、たくさんのヒトたちを紹介していけたらと思っています」

 

「コミュニティFM」の仕事を通して「伝える」ことの楽しさとやりがいを感じ、その夢をひろげる啓人さんは、その先も見据えて「やりたいこと」にどんどんチャレンジしながら、卒業まで学生パーソナリティとして走り続けます。

 

 

▲学生パーソナリティをやるようになって、ラジオ局の機材にも興味を持つようになり、大学の企業見学ではラジオ局やテレビ局もめぐったそう。「この機材があると、こういう放送ができる」という話が面白くて、技術の仕事にも興味を持つように。

 

 

▲最初の頃は話す内容を事前に考えて、それで逆にガチガチになってしまうこともあったそう。それをやめて「“ありのまま”で話すようになったら伝わりやすくなったように感じる」と語る啓人さん。現在は「ありのまま」を大切に本番へ。

 

 

本田啓人さんが学生パーソナリティを務めるラジオ局:

北上市のコミュニティFM「きたかみE&Beエフエム」 

 

 

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