KITAKAMI NEWS
【20代の肖像】vol.51 沿岸と内陸をつなぐ ハンドメイドのぬくもり。
沿岸と内陸をつなぐ
ハンドメイドのぬくもり。
vol.51 中山 那菜歩(なかやま ななほ) 21歳
山田町から北上市へ。沿岸と内陸の交流の場に。
「お店に来るたび、新しい作家さんの作品が増えていて、雰囲気も変わっていたりするので、毎回来るのが楽しみです」
そう言って笑顔を浮かべるのは、山田町出身の中山那菜歩さんです。那菜歩さんが語る「お店」とは、昨年(2023年)11月に北上市内にオープンしたハンドメイド作家さんたちの作品が集まるお店「リアスハンドメイド haru ゆな」です。
同店は、山田町で新築・リフォームを手掛ける「中陽(なかはる)住建」の代表が、昨年11月に北上市に営業所を立ち上げたのに併せて、営業所の一部をハンドメイド作品を販売するお店としてオープンさせました。
▲店内にはアクセサリー・バック・巾着・ハンカチ・革製品・ネイルチップ・羊毛フェルト・リースフラワー・木工・ルアー・イラストなど、ハンドメイド作家さんたちの作品がズラリ。
那菜歩さんは地元の高校を卒業後、北上市にある「北上コンピュータ・アカデミー」に進学し、そのまま市内の企業に就職しましたが、お父さん(中陽住建代表)が「リアスハンドメイド haru ゆな」をオープンすると知ってプライベートな時間を活用して手伝うようになったそう。
同店は那菜歩さんのお父さんと、中陽住建の社員でもある店長の佐々木由美子さんが沿岸のハンドメイド作家さんたちを応援しようと始めたそうですが、「沿岸と内陸の交流の場にもなれたら」と、内陸のハンドメイド作家さんたちの作品も一緒に紹介するうちにどんどん数が増えていったそう。
「毎回来るのが楽しみ」と那菜歩さんも語る通り、最初は30人ほどだった作家さんもオープンから半年たたずに50人以上にまで増加。しかも、最初は営業所の一角をお店として利用していましたが、作家さんの人数が増えるとともにそのスペースではおさまらないようになり、ついには隣の部屋まで拡大。現在では写真の通り、たくさんのハンドメイド作家さんたちの作品が並ぶにぎやかな空間になっています。
作品を並べる棚やテーブルなどは那菜歩さんのお父さんの手づくりで、ハンドメイド作家さんを紹介する文章やボードなどのディスプレイも店長さんが自ら手掛けるなど、ハンドメイド愛あふれる店内が那菜歩さんは大好きだそう。
そんなお店に訪れてくれたお客さまと接するうえで、那菜歩さんが大切にしているのは……。
▲棚も作品を紹介するディスプレイも手づくりで、ハンドメイド愛あふれる店内。ちなみに店名の「haru」は「中陽(なかはる)住建」の社名から。「ゆな」は店長さんと那菜歩さんの名前の頭文字から。
▲店内には店長・佐々木由美子さん(左)と那菜歩さん(右)の似顔絵も。佐々木店長は「中陽住建」の社員ですが、趣味で手づくりした布製のバックや小物などを山田町の道の駅などで販売していたそう。
作家さんの代わりに、その想いをきちんと伝えたい。
接客の仕事の経験がなかった那菜歩さんですが、「リアスハンドメイド haru ゆな」を手伝うようになって接客の仕事から大きな刺激を受けています。
「最初はお客さまにどう声をかけていいかわからなくて……。でも、いろんな作家さんと直接会ってお話が聞けるので、作品を作るうえでどこにこだわっているかとか、どこが大変だったかとか、そういうことを聞いたうえで、お店にいらしたお客さまに説明するようになってからは、接客するのが楽しくなりました。店長さんがやっていることのマネなんですけど(笑)
でも、見るだけでは伝わらないこともあると思うので、作家さんの代わりに自分が伝えられたらと思って、その部分を大切にしていつも接客しています。それに作家さんのこだわりとか大変さを知ってもらったうえで、お客さまに気に入って購入してもらえると、やっぱり私自身もうれしいんですよね」
そう語ってくれた那菜歩さん自身も、作家さんのこだわりや大変さを知ったうえでその作品のファンになり、自分用に購入することも多いそう。お気に入りの作家さんを尋ねると……。
「宮古のRANTANA(ランタナ)さんは、カラフルな花をあしらったアクセサリーがすごくかわいいですね。Art Eriy’s(アートエリーズ)さんも宮古の方ですが、ダルマさんの絵がかわいくて大好きですし、書いている言葉に心を打たれます。
北上のLIBRERIA(りぶれりぃあ)さんはご夫婦でアクセサリーを作られているんですが、見た目は大ぶりで重そうなんですけど、すごく軽くてデザインもかわいいので私は大好きです。rosetiara(ローズティアラ)さんも北上の方なんですけど、リバティプリントというイギリスの最高級生地を使ったハンカチが人気で、生地の柄もたくさんあって見ているだけで楽しくて、自分も使わせてもらっています。とかいろいろ言っちゃいましたけど、作家さんの作品はそれぞれ個性があって、どれもステキです。お気に入りを教えてと言われても、選べないです(笑)」
「いろんな作家さんと交流ができて楽しい」と語る那菜歩さんですが、あふれだすその言葉に納得です。
▲「七変化」の花言葉を持つ花の名前を冠するハンドメイド作家「RANTANA」さんが手掛けるのは、カラフルな花をモチーフにしたレジンアクセサリー。
▲かわいいダルマさんをモチーフにしたイラストやカレンダーなどの雑貨を手掛ける「Art Eriy’s」さんは、イラストに添えるコメントも好評。
▲イギリスの老舗百貨店「リバティ・ロンドン」の最高級生地を使用したこだわりの布小物を手掛ける「rosetiara」さん。生地のデザインも豊富で集める楽しさも。
▲「LIBRERIA」さんは夫婦が手掛けるアクセサリー。大ぶりで存在感のあるデザインでも「軽い」ので、那菜歩さんも愛用。
ハンドメイドとともに、山田町のぬくもりも。
個性豊かなハンドメイド作家さんたちの作品が並ぶ「リアスハンドメイド haru ゆな」のもうひとつの魅力が、那菜歩さんの地元である山田町の名産や沿岸の人気商品などと出会える点です。
「山田は海産物がおいしいので『明神丸かき・ほたてきち』さんの牡蠣や帆立の発送もしていますし、『太田幸商店』さんの山田煎餅とか宮古の『さとう珈琲豆直売』さんのコーヒーもぜひみなさんに知ってもらいたくて販売しています。内陸のヒトってまだまだ山田や沿岸のことを知らないヒトが多いと思うので、こうした名産品を通して山田や沿岸の魅力を少しでも知ってもらえたらうれしいですね」
▲山田町の名産や沿岸の人気商品なども店頭に並べ、山田町と沿岸の魅力をPR。
そう語ってくれた那菜歩さんに、これからチャレンジしてみたいことを尋ねると……。
「お店のスペースが広くなったお陰で、といってもそんなに広いスペースがあるわけではないんですが(笑)、店内でイベントもできるようになりました。
この前は北上でステキなネイルチップを作っているmago_nailartのモネコさんに来ていただいて、ハンドケアのイベントをしました。ハンドケアは1対1でできるので、場所をとらないので店内でもできるんですよ。
これからはいろんな作家さんたちと一緒にイベントやワークショップができるようになると思うので、さらに多くの方にお店に来ていただいて、たくさんのハンドメイド作家さんたちの作品に出会っていただけたらと思っています」
いろんな作家さんのこだわりと想いが詰まったハンドメイドの魅力を通して、沿岸と内陸をつなぐ「リアスハンドメイド haru ゆな」。そのぬくもりの輪を広げようと笑顔でお客さまを迎える那菜歩さんです。
▲「mago_nailart」のモネコさんを迎えて行ったハンドケアイベントの様子。店内には「mago_nailart」のネイルチップも。
▲週末は地元・山田町へ。以前はよく帰っていたそうですが、最近は忙しくて……。
中山那菜歩さんがお手伝いしているお店:
岩手県北上市常盤台2-13-14