KITAKAMI NEWS
【20代の肖像】vol.50 自分がワクワクした体験を 小学校のプログラミング教育へ。
自分がワクワクした体験を
小学校のプログラミング教育へ。
vol.50 佐藤 夢斗(さとう ゆめと) 20歳
“憧れ”だからこそ。多忙な先生の助けに。ワクワクを子どもに。
「自分は3人兄弟の末っ子で、親戚のなかでも一番年下なので、子どもの頃から弟や妹がいる友だちがうらやましかったんですよ。幼稚園の先生とか小学校の先生とか、すごく楽しそうに見えて(笑) 中学の頃から子どもたちに関わる教育関係の仕事をしたいと思うようになったんです」
そう語る佐藤夢斗さんは大学の児童教育学科で教職課程を学んでいます。そんな夢斗さんが今チャレンジしているのが、必修化された小学校のプログラミング教育で多忙な先生の負担をなくしながら、子どもたちにワクワクする授業を届ける仕組みづくりです。
「自分が高校生のときに小学校でプログラミング教育が必修化されると知って、『プログラミング教育が得意な先生になれたら面白いんじゃないか』と思ったんです。
でも、大学で教職課程を学んでいくうちに現場の先生の大変さもどんどんわかってきました。新聞やテレビのニュースでも報じられていますが、学校の先生って本当に多忙で、プログラミング教育のための準備をしたり研究をしたりする時間もなかなか取れないという話をよく聞いていました。
その点、関東の小学校ではプログラミング教育が進んでいて『なぜだろう?』と成功事例を調べてみると、民間のプログラミング教室と小学校が手を取り合って授業づくりをしていることがわかって、『これだ!』と思ったんです」
そこで夢斗さんは自ら「プログラミング教室」を運営し、公教育と連携できる体制をつくろうと起業を決意。アルバイトに励み、最後は2つの仕事を掛け持ちして起業資金を貯めるとともに、民間のプログラミング教室と小学校が連携してプログラミング教育を進めていくために必要なノウハウを学べるパートナー企業を探そうと、プログラミング教室を運営するさまざまな企業に問い合わせました。しかし……。
▲大学で教職課程を学ぶ夢斗さん。この日は先生として模擬授業も実施。
プログラミング教育のプロに。クラファンにも挑戦!
「パートナー企業探しは厳しかったです。自分はフランチャイズ契約がしたいわけではなく、プログラミング教室を運営しながら小学校のプログラミング教育を面白くしていきたいという想いが強くあるので、その辺を理解して協力していただけるところと出会うまでが大変でした」
そんな夢斗さんの熱い想いに耳を傾けてくれたのが、現在、夢斗さんが加盟しているプログラミングスクール「iTeen」(アイティーン)です。全国でも数少ない子ども向けの本格プログラミングスクールとして全国展開している同スクールでは、パソコンに触れたことのない小さな子どもの頃から楽しく才能を伸ばせるカリキュラムを用意。
しかも、同スクールではパソコンやスマホのある生活が当たり前となった子どもたちにネットの正しい知識やモラルをきちんと教え、リテラシーを高めることも大切にしています。
▲夢斗さんが北上市と紫波町で開催したプログラミングイベントの様子。ゲーム感覚で学べる教材は子どもたちにも大好評だったそう。
そんな「iTeen」の取り組みにも共感した夢斗さんは、公教育との連携に向けて自身もプログラミング教育のプロをめざし、同スクールで本社研修を含めた40日間の研修を受け、厳しい認定試験をクリアし同スクールの「教室長」に就任。教室長になるとプログラミング教室を自ら運営できるため、今年(2024年)2月にはプログラミング教室「YumePro/iTeenオンライン校」を開校し、子どもたちにプログラミングを教えられる環境を整えました。
また、岩手県内の小学校でプログラミング教育を行える道筋をつくるため、クラウドファンディングにも挑戦中!
「小学校で外部の人がプログラミング教室を行う場合、セキュリティの問題などもあって学校のパソコンは使用できないんですよ。ですから授業で必要なパソコンなどの機材も自分たちで準備する必要があります。
その他にも、この取り組みを岩手県内の小学校や自治体の方にも知ってもらい、その楽しさを体験してもらうための出張授業や、親子で楽しめるプログラミングイベントなども企画していて、クラファンで支援いただいた資金はそうした活動に使わせていただこうと思っています」
多忙な先生たちの負担をなくしながら、子どもたちにワクワクするプログラミングの授業を届けるため、着々と準備を進める夢斗さんですが、応援してくれる方がいる一方、「大学生にそんなことできるのか?」という声も……。
しかし、「大学生だから」「20歳の自分だから」こそ、という強みがあると夢斗さんは語ります。それは……。
マイクラの“ワクワク”で、プログラミング教育をもっと面白く!
「自分がマイクラと出会ったのは10年前。小学校3~4年生の頃でした。
今では“世界で一番売れているゲーム”と言われるくらい人気ですが、自分が子どもの頃が一番流行っていたと思います。でも、そのときマイクラをプレイできるのがパソコンなど限られていて、小学生の自分が触れられるゲーム機ではまだプレイできなかったんですよ。
ですからYouTubeを見ながらずっと憧れていて、中学校に入ってようやくプレイできるようになってからは夢中でやっていました」
▲夢斗さんが小学校のプログラミング教育用に活用する「教育版マインクラフト」の画面。
夢斗さんが語る「マイクラ」とは、「Minecraft(マインクラフト)」と呼ばれるゲームのことで、3Dブロックで家や町をつくったり、冒険の旅に出かけたり……。頭にイメージしたさまざまなものを3Dブロックでカタチにしながら世界をひろげ、自由に遊べる点が魅力です。
▲「教育版マインクラフト」はプログラミング初心者にも安心の日本語対応のため、小さな子どもから楽しく学べる点が魅力だそう。「マイクラなら家をつくったり、川をつくったり、自分が必要だと思うものを何でもつくれます。自分の創造力がカタチにできる! その楽しさを伝えたい」と夢斗さん。
夢斗さんは「iTeen」で40日間の研修を受けたことは先に触れましたが、その研修でプログラミング教育版の「マインクラフト」があることを知り、ワクワクしたそう。
「マイクラは自分が子どもの頃からずっと夢中になって遊んでいたゲームなので、子どもの立場でその面白さや楽しみ方が実感としてわかっています。教育版マインクラフトを活用する自分のプログラミング教育では、子どもたちに一番近い自分が先生となって、子どものときに楽しいと実感したマイクラの面白さをそのまま伝えることができれば、今の子どもたちもより楽しくプログラミングを学ぶことができると思ったんです」
民間のプログラミング教室と公教育を連携させ、多忙な先生たちの負担をなくしながら、子どもたちにワクワクする授業を届けること……。その実現に向かって着実に“できること”を積み重ね、これからますます重要になるプログラミング教育を、子ども目線でさらに面白くしようと奮闘する夢斗さんは、誰よりもプログラミング教育の未来にワクワクしています。
▲北上市内の企業・団体などが集い、新たなつながりを創出し、より豊かなまちづくりをめざそうと3月に開催された「北上市まちづくりマッチングフェア」にも参加。100人以上の前で自身の取り組みを語った夢斗さん。一般企業や他団体とのつながりもでき、新たなチャレンジも……。
▲子どもの頃は地元・鬼柳で鬼剣舞を舞っていたそう。写真左から2人目が夢斗さん。
▲休みの日は中学からはじめたソフトテニスで気分転換。
佐藤 夢斗さんが起業し運営するプログラミング教室:
Tel/070-2436-0223
Mail/yumepro-online@iteen.jp