KITAKAMI NEWS

【20代の肖像】vol.48 今度は助けるヒトに。13歳からの“憧れ”を胸に。

2024年2月27日

きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑

 

 

今度は助けるヒトに。

 

13歳からの“憧れ”を胸に。

 

vol.48 千葉 勝希(ちば しょうき) 20歳

 

 

 

13歳、不安な少年の前に現われたヒーロー。

 

 

「母が倒れて救急車で搬送されたんですよ。中学1年生のときだったんですが、自分は見ているだけで何もできなくて……。そのとき救急車で来てくださった消防の方が活動している姿を見たのがきっかけです」

 

 

幸い、その後お母さまも元気に退院されたそうですが、それが消防士となってもうすぐ3年目になる千葉勝希(しょうき)さんの原点です。

 

 

 

 

勝希さんが勤務する「北上地区消防組合」は北上市・西和賀町エリアをカバーし、年間およそ30件の火災、4,000件以上の救急出動に対応しており、1日で7~8件、夏になると熱中症が増えるため多い日には1日30~40件の出動があるそう。

 

 

 

 

その最前線に立って活動している勝希さんは、初めて出動した火災現場の体験が忘れられません。

 

 

「自分も消防士として地元の消防組合に配属される前の半年間、消防学校に通って厳しい訓練を受けていましたし、憧れの消防士になって最初の火災出動でもあったので、『よし、やってやろう!』という強い気持ちで出動しました。

 

 

でも、現場に行ってみないと状況がわからないなかで、自分たちが駆けつけたときは、現場はもちろん混乱した状況ですし、そういうなかで消防団の方たちと連携しながら消防活動にあたるということ自体も初めての経験で……。

 

 

それに、初めての現場が“全焼火災”で、訓練でも経験したことがないくらいのあまりの熱さに、前に出ようと思うんですけど、あの重たい防護服を着ていてさえ身体が引いてしまうんですよ。あのときの経験は忘れられません」

 

 

その現場は全焼火災だったため延焼の心配もありましたが、消防士や消防団の懸命な消火活動で周辺の建物に被害がひろがることなく消火できたそう。しかし、消防士は火がしっかり消えるまで現場に残るため、ずっと水をかけながら様子を見て、夜中に出動した現場から撤収できたのは朝8時だったそう。

 

 

初めての火災現場で、いきなり消防士という仕事の厳しさに直面した勝希さんですが、憧れだった消防士となってもうすぐ3年目、その仕事を今どう感じているのでしょう?

 

 

▲訓練のため、防護服に着替える勝希さん。

 

▲訓練前の打ち合わせ。消防士は日頃からの訓練が欠かせないそうで、この日は……。

 

 

1年目の悔しさを、自分の成長に。

 

 

「消防士の仕事は、思っていた以上にハードで本当に大変です(笑) でも、それ以上にやりがいがある仕事だと思います。

 

 

大きな街と比べたら、そんなに災害現場が多いわけではないんですけど、そういうなかでも訓練したことが先輩や上司に認めてもらえて、しかもそれが実際の現場でのスムーズな活動につながったりすると、自分の努力がヒトの役に立っているんだなあと実感できるのはうれしいですね」

 

 

 

 

仕事のやりがいについて尋ねると、力強くそう語ってくれた勝希さんですが、その陰には……。

 

 

「やっぱり消防学校で厳しい訓練をしてきたとはいえ、実際の現場になると、特に1年目は現場の経験も少ないので自分ができることも少なくて、みなさんの役に立てていないなと思って悔しくなることが何度もありました。

 

 

でも、そんなときは努力するしかないので、日頃の訓練からがんばろうと思って必死にやっていました」

 

 

そう語ってくれた勝希さん。悔しい思いをした1年目を乗り越えて、現在は後輩もでき、教える立場に。そんな勝希さんが日頃から大切にしているのが……。

 

 

「仕事はもちろん、仕事以外でも挨拶をしっかりすること。それと自分は小学校からサッカーを続けているんですが、“うまさ”よりは“ガッツ”でチームに貢献するタイプだったんですよ(笑) そこは今も変わっていなくて、いつも元気にヒトともコミュニケーションをどんどん取っていくことを意識してふだんからやっています」

 

 

この日の訓練も後輩と2人で行っていましたが、率先してキビキビと動く姿が印象的でした。

 

 

▲この日は「ホーストレーニング」を後輩の女性消防士と実施。

 

▲火災現場で速やかに放水作業に取りかかり、さまざまな状況にスムーズに対応できるように、ホース延長・整理などのやり方を日頃から訓練しているそう。

 

▲訓練中にも消防救急無線が入り、すぐに出動。訓練中のメンバーも素早く出動をサポート。

 

 

ロープレスキュー、消防救助技術大会……、訓練のその先に。

 

 

そんな勝希さんに、今後チャレンジしてみたいことを尋ねると……。

 

 

「消防署の有志の人たちが集まって『ロープレスキュー』の技術を磨こうと取り組んでいるんですけど、来年度は自分もそのチームに入っていっしょにがんばりたいと思っています」

 

 

と力強く答えてくれました。ちなみに「ロープレスキュー」とは欧米で一般的な山岳救助に使用される資器材や救助方法を、日本の消防隊が救助方法に取り入れた、近年注目されている救助方法です。

 

 

想定されるのは山岳地帯などで高低差のある場所、急斜面、断崖、川の中州など、従来の救助方法では困難な状況で、ロープとさまざまな資器材を組み合わせて救助活動を行います。「北上地区消防組合」がカバーする北上市・西和賀町は豊かな自然に囲まれており、キャンプやアウトドアスポーツなどが人気を集めるなか、今後の備えとしても重要となっています。

 

 

勝希さんも先輩たちと同様、有志のひとりとして「ロープレスキュー」の技術向上に努めるそう。さらに……。

 

 

▲昨年、岩手県で開催された「消防救助技術大会」にて、参加メンバーと。右から2人目が勝希さん。

 

 

「毎年6月に、岩手県で消防救助技術大会があるんですよ。今年度は残念だったんですけど、来年度こそはそこで結果を出して東北大会に出場したいです」

 

 

とのこと。同大会は、県内の消防隊員が日頃培った救助技術を競う大会で、水平に張ったロープにぶら下がるなどして進む「ロープブリッジ渡過」、垂直に伸びる15mのはしごを登る「はしご登はん」、水没した救助者を水面に引き揚げる「引揚救助」などのスピードを競います。

 

 

競技に参加するのは県内の若手消防士が中心で、勝希さんも「北上地区消防組合」の若手のひとりとして出場するそう。「来年度こそ……」と決意も新たにしている勝希さん。今度は自分が助けるヒトに……。13歳から色あせない“憧れ”を胸に、その目標に向かって、仲間といっしょに“ガッツ”と“元気”で訓練に汗を流す様子が目に浮かびます。

 

 

将来、どんな消防士になっているのでしょうか。楽しみです!

 

 

▲趣味は魚釣り。最初(中学時代)はブラックバスがメインでしたが、現在は友だちや職場の先輩と海へ。釣った大物は、地元・北上市常盤台にある「銀寿司」で腕を振るうおじいちゃんがさばいてくれるそう。

 

▲小学校からはじめたサッカー。高校時代は“ガッツ”と“気合い”を武器にFWとして活躍。現在も北上市役所のチームに所属し、サッカーを楽しんでいるそう。

 

▲訓練終わりにみなさんで。

 

 

千葉 勝希さんが働く職場:北上地区消防組合

 

 

岩手県北上市柳原町2-3-6
Tel/0197-64-1122