KITAKAMI NEWS

【20代の肖像】vol.47 お菓子で笑顔に。笑顔をみんなに。

2024年1月31日

きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑

 

お菓子で笑顔に。

 

笑顔をみんなに。

 

vol.47 照井 凌(てるい りょう) 22歳

 

 

 

 

子どもの頃から“お菓子作り”で笑顔に。

 

 

「子どもの頃からケーキ屋さんに憧れていました。最初は『楽しそうだから』というくらいの理由だったんですけど、ふだんから友だちの誕生日をお祝いしたり、お菓子をつくってあげたり、バレンタインにお菓子の作り方を教えてあげたりするのも楽しくて、自分がしたことで誰かに喜んでもらえることがうれしくて……。

 

 

だから、ケーキ屋さんになりたいという気持ちはずっとブレなくて、今もお菓子を作っているという感じです」

 

 

 

 

そう言ってトレードマークの“笑顔”を浮かべるのは、北上市内にある「ときよじせつONODERA」でお菓子作りと接客を担当している照井 凌(りょう)さんです。

 

 

凌さんが勤める同店は、地元・北上市をはじめ岩手で育まれた季節のおいしい食材にこだわり、その出会いを大切にした創作料理をコースで味わえるレストランです。あえて決まったメニューをつくらないのも、生産者さんがその日届けてくれる食材をもとにコース料理を組み立てるため。

 

 

 

 

オープンキッチンを囲むカウンター席で、食材ひとつひとつのエピソードを添えて提供される心のこもったひと皿ひと皿に舌鼓を打ちながら、ゆったり会話を楽しむひとときが多くのお客さまに愛され、ふだん使いはもちろん、誕生日や記念日などのお祝いのシーンにも人気です。

 

 

 

 

凌さんは洋菓子店やレストラン、カフェなどで活躍するパティシエをめざし、お菓子作りを中心に店舗運営やサービスまでトータルに学べる専門学校に進学。卒業後はカフェを併設したケーキ屋さんに就職し、お菓子作りを担当。そこで働いているときに、「ときよじせつONODERA」のインスタを見て休みの日に客として訪れたところ、その人柄を見抜いた同店の小野寺シェフに「いっしょに働かないか」と声を掛けられたそう。

 

 

「最初はすごく悩みました。私が当時勤めていたケーキ屋さんにいれば、お菓子作りのことをたくさん学ぶことができます。でも、この店ならお菓子作り以外のこともたくさん学べそうだし、新しいこともいろいろできる気がして……」

 

 

悩んだ末、新しいことにチャレンジする道を選んだ凌さんは、半年のアルバイト期間も含め2年間お世話になったケーキ屋さんを退職し、2022年11月から「ときよじせつONODERA」で働くことに。そして、そこでお菓子作りに携わるヒトとして大きな刺激を受ける出会いが……。

 

 

▲コロナ禍ではじめた「ときよじせつONODERA」のランチテイクアウト。パン職人でもある小野寺シェフのおいしいパンでつくるサンドイッチや総菜が500円~から楽しめるお得感に加え、見た目も映える写真がSNSで話題に。それを見て凌さんも来店。現在ランチテイクアウトは木・金・土(11:30~13:00)に実施。

 

 

▲凌さんがつくる焼き菓子。同店のランチテイクアウトやディナーにも登場。ぜひご賞味あれ!

 

 

 

 

生産者さんとの出会いからひろがる新しい可能性。

 

 

もともとヒトとおしゃべりをするのが好きで、専門学校時代はカフェでアルバイトもしており、接客の仕事も楽しいと語る凌さんは、多くの出会いがある「ときよじせつONODERA」でたくさんの刺激を受けています。

 

 

「この店は料理はもちろんですが、お客さまとのコミュニケーションも大切にしているので、ふだんなら出会えないいろいろな職業や年代の方と気軽にお話できる雰囲気が好きですし、私の知らないお話をいろいろ聞けてとても勉強になります。

 

 

お菓子作りについても、ふつうの店だと作るヒトと販売するヒトが違いますが、ここだと自分でも販売しますし、ディナーでも接客を担当しているのでお客さまの声を直接聞くことができます。やっぱり自分が作ったお菓子の感想をお客さまから直接聞けるのは勉強になりますし、おいしいと言ってもらえるとうれしいし……。そういう声を直接聞ける距離感の近さがいいなって思います」

 

 

 

 

そう語ってくれた凌さんが大きな刺激を受けているのがさまざまな生産者さんとの出会い。先にも触れましたが「ときよじせつONODERA」があえてメニューをつくらないのも生産者さんの都合に合わせるためだそうで、例えば農家さん自慢の野菜がその日にたくさん採れれば、それをいっぱい使用したメニューを考案するなど、がんばっている生産者さんに寄り添いながら、柔軟に対応している点が同店の魅力でもあります。そのため、生産者さんと直接やりとりすることも多く……。

 

 

「この夏(2023年)は猛暑で大変でしたよね。農家さんも苦労されていて、ダメになる野菜が多い中でせっかく育ってもカタチが崩れていたり傷がついていたりして規格外になる野菜も多いみたいで……。

 

 

そういう野菜や果物でも加工して使えばおいしさは変らないので、そういうものも使ってお菓子をつくってみようと考えるようになりました。

 

 

規格外の野菜や果物のことまで考えることは今までなかったんですが、この店で働くようになってそういうことにも気づけるようになったことはすごく自分にとって良かったと思います」

 

 

さまざまな出会いから新たな気づきを得て、凌さんはお菓子作りの可能性をひろげています。

 

 

▲規格外のリンゴを使ったパウンドケーキはワインにも合うと好評。

 

▲同じく規格外のリンゴを使ったキャラメルソースがおいしいプリンも人気。

 

▲お店のご近所、諏訪町商店街で毎月第4日曜日に開催される「きたかみ朝市」もお手伝い。凌さんも笑顔で店頭に。

 

▲2023年2月からスタートした「きたかみ朝市」は朝7時から大賑わい。月に一度の北上市の朝の風物詩に。

 

 

 

 

さくらも、お菓子も……。その魅力をもっともっと。

 

 

「ときよじせつONODERA」で働いて1年が過ぎ、凌さんは「もっと、もっと」という気持ちが強くなりました。同店が毎年春に取り組む「つながる北上さくらプロジェクト」もそのひとつ。

 

 

「つながる北上さくらプロジェクト」は、同店の小野寺シェフが実行委員長となり2020年からスタート。北上市の名所「展勝地の桜」にちなんで、病気や障がいなどでお花見に行くことができないご家族や施設に毎年春に満開の桜の木を届け、お花見を楽しんでもらう活動です。

 

 

「私も今年(2023年)から参加していますが、飲食店だけでなくお花屋さんとか農家さん、医療従事者の方とか、いろいろな方たちがつながって活動していて、ふだんなら出会えない方たちと出会えたのはすごく貴重な体験でした。

 

 

それに私自身もお花が好きで店に桜が飾られるのを見ているだけでわくわくしました。それがお花見に行けない方のご自宅でも楽しめると思うとステキな取り組みだと思います。

 

 

もっともっとこの取り組みを多くの方に知っていただきたいので、これからはそうした情報発信も活発にしていきたいですね」

 

 

さらに自分が手掛けるお菓子についても……。

 

 

「この店で働くようになって、改めてヒトとのつながりって大切なことなんだと思うようになりました。

 

 

私自身もいろいろなお客さまや生産者さんと触れ合える今の店が好きなので、だからこそそこで出会えるたんたくさんの方に私が作るお菓子のことももっともっと知っていただいて、たくさんの方に喜んでもらえたらうれしいなって思います」

 

 

そう語ってくれた凌さんは、この店で働いていて「いつかは自分でもお菓子屋さんを」という夢ができたそう。大好きなお菓子でお客さまを“笑顔”に……。お客さまとの出会いを楽しみに、トレードマークの“笑顔”で凌さんは今日もお客さまをお迎えします。

 

 

▲店に飾られたポスターと。「つながる北上さくらプロジェクト」では店内に飾られた桜を眺めながら美食が楽しめる寄付金付きのディナーを提供。その寄付金や募金などを活用し、病気や障がいなどでお花見に行けない方のご自宅や施設に桜の木を届けています。

 

▲写真は凌さんが撮影。2023年は3月20日~4月8日まで実施。2024年も開催予定です。お楽しみに!

 

▲凌さんのトレードマークの“笑顔”は、“応援”することが楽しくて4歳から高校3年生まで続けていたチアリーディングでしぜんと身についたもの。チアを通してヒトを笑顔にする楽しさを学んだそう。

 

 

 

 

照井 凌さんが働くお店:ときよじせつONODERA 

岩手県北上市本通り1-8-28

Tel/080-3196-0495