KITAKAMI NEWS
【20代の肖像】vol.35 吹奏楽と建築。 奏でるのは楽しいリズム。
吹奏楽と建築。
奏でるのは楽しいリズム。
vol.35 小瀬川夏紀 23歳
“吹奏楽”に没頭し、進路が……。
「姉とは9歳、兄とは6歳離れているんですけど、2人とも中学・高校と吹奏楽部で、小学校に入る前から私も両親に連れられて姉や兄が参加する演奏会をよく観にいっていました。
ですから私も中学生になったら吹奏楽部に入るんだろうなと小さい頃から思っていました」
そう語る通り、小瀬川夏紀さんは中学校に入ると吹奏楽部に入部。個人的にはサックスをやりたかったそうですが、人数が少なく、ドラムができるヒトも他にいなかったため、第3希望だった“打楽器”の担当に。
しかし、第1希望の楽器ではなかったにもかかわらず、すぐに“吹奏楽”の魅力に取りつかれ、高校も地元の花巻を離れ、北上市の専修大学北上高等学校に進学すると迷わず吹奏楽部へ。しかも1年、2年と学年の部長を務め、3年になると吹奏楽部の部長として60人を超える部員をまとめる立場に。
そんな小瀬川さんに“吹奏楽”の魅力をうかがうと……。
「吹奏楽って、ひとりだけ上手でもダメなんですよ。みんなで揃えないと上手に聴こえなくて……。
そもそも音楽は下手でも楽しいんですけど、練習して少しずつ上手くなって、それをみんなで揃えて音楽を奏でていく過程がすごく楽しいんですよね」
そう言って笑顔を浮かべる小瀬川さんですが、高校の吹奏楽部ではマーチングの全国大会が12月中旬にあり……。
ちなみに高3の12月と言えば、就職希望者のほとんどは就職先がすでに決まっており、進学希望の生徒は受験に向けてラストスパートの時期です。もともと小瀬川さんは進学志望でしたが、家庭の事情で四大には進めず、進学するなら短大か専門学校ということは決まっていたそう。
しかし、音楽中心の3年間だったため……。
頼みの綱の産技短で、“建築”の魅力に出会う。
「高校ではずっと音楽中心の生活だったので、将来どんな仕事をしたいのか、そのために何を勉強すればいいのか。それがわからないので進学先も決められなくて悩んでいるうちに12月になって、マーチングの全国大会も終わって、さあどうしよう? と思ったときには就職先もないし……。
そんなときに親が勧めてくれたのが『産技短(さんぎたん=岩手県立産業技術短期大学校の略)』で、祈る気持ちで受験してみたら受かって『やったー!』という感じです(笑)」
こうして「岩手県立産業技術短期大学校 矢巾校 建築科」に進学した小瀬川さんですが、学校で学ぶまで“建築”にはまったく興味がなかったそう。
しかし……。
「それまでは漠然と『家って大工さんが建てるもの』くらいに思っていたんですが、一軒の家を建てるのにも、こういう構造で、こういう材料が使われていて、いろんな職人さんや専門家さんがかかわって家が建つという、その仕組みを知れば知るほど面白くて……。
産技短のシラバス(授業計画)も建築にかかわる幅広い分野のことを実践的に学べるようになっているので、学べば学ぶほど自分の世界がひろがっていく感じでした」
“建築”の魅力と出会い、産技短で充実した2年間を過ごした小瀬川さん。高校時代は吹奏楽に没頭しすぎて機会を逃した就職活動も……。
「もちろん、きちんとやりました(笑) ハウスメーカーさんや建設会社さんなどを中心に就職活動をして、入社を決めたのが今の会社です」
小瀬川さんが入社したのは、北上市和賀町藤根で創業60年の歴史を刻む「マルケイ建設株式会社」です。同社は総合建設会社として、自社設計施工による住宅の建築はもちろん、小中学校などの公共建築工事、道路などの土木工事をはじめとするインフラ整備、さらには建物を解体し土地の再整備を行って販売するなど幅広く事業を手掛けています。
「私は一般住宅の営業・設計・工事管理を担当しています。産技短では建築にかかわる幅広い仕事を学びましたが、設計か施工管理の仕事につくか、決められずに悩んでいたときにマルケイ建設では幅広い仕事にかかわれると知って、私に向いていると思ったんです」
しかし、営業・設計・工事管理……。ふつうなら、それぞれ専門のスタッフが担当する業務ですが、それをひとりでこなしている小瀬川さん。仕事も大変そうですが……。
“吹奏楽”も “建築”も。マルケイで“楽しさ”をひろげる。
「家を建てるって、本当にすごいと思います。お客さまといっしょに考えて、いろんな職人さんや専門家さんの技術を集めて、ゼロからイチをつくる面白さ。
しかも、がんばった成果が目に見えてわかるし、もちろん家が完成するまではいろいろ紆余曲折があって責任も重大ですが、それでも最後にお客さまから『ありがとう』と言っていただくと、本当にがんばって良かったって思います。
今の仕事はそのすべてにかかわることができるので、すごくやりがいがあります」
入社から3年。営業・設計・工事管理とひとりで何役もこなしながら、さまざまなヒトとかかわり協力しあって家を建てる現在の仕事の魅力を、小瀬川さんはそう語ってくれました。
ひとりだけ上手でもだめなんですよ。みんなで揃えないと上手に聴こえなくて……。
“吹奏楽”の魅力をそう語っていた小瀬川さんにとって、「家を建てる」ことは「吹奏楽の楽しさ」にも似ているのかも……。
そんな小瀬川さんの次の目標は、「1級建築施工管理技士」の資格を取ること。一般住宅をはじめ中小規模の建築工事の管理ができる「2級」に対して、「1級」になると管理できる建築工事の規模に上限がなくなり、小瀬川さんの活躍のシーンもさらにひろがります。
「この仕事は、同じ仕事がないところが面白いです。同じ新築でもまず間取りが違いますし、地域とか周りの環境とか、住宅街なのかそうじゃないのか、そもそもお客さまの要望もそれぞれ違いますし……。
1級の資格を取れたら、規模に関係なくどんな建築物の施工管理もできるようになるので、その面白さもさらにひろがると思うんですよね」
“建築”という仕事に出会い、「マルケイ建設」でひろがる自分の可能性に、小瀬川さんは今ワクワクしています。
最後に、大好きな“吹奏楽”で小瀬川さんが担当している“打楽器”の魅力についてうかがうと……。
「サンバが代表的ですけどラテン音楽って打楽器が中心で、聴いているだけで楽しくなりますよね。
あれがまさに打楽器の魅力で、打楽器は基本的にリズムを刻んでいるんですけど、それだけでも楽しい気分になるし、吹奏楽で言えばメロディがどれだけきれいでも、リズムを刻む打楽器の音が崩れると音楽全体が崩れて聴こえてしまう。それくらい大事な楽器で、音楽の中心にいるのが打楽器なんですよね……。
でも、やっぱり“楽しい”っていうのが一番です!」
吹奏楽と建築……。2つが重なって、小瀬川さんが叩く打楽器からは楽しいリズムが聴こえてきそうです。
小瀬川夏紀さんが働く職場:マルケイ建設株式会社
岩手県北上市和賀町藤根17-54-1
Tel/0197-73-5331