KITAKAMI NEWS

【20代の肖像】vol.4  ベトナム人技能実習生

2020年6月26日

きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑

北上市で働きながら、家族の暮らしを助けたい。故郷を想いながら夢に向かって……。

 

 

日本人の働き方を学び、いつか故郷で自分の夢を叶えたい。

 

3月16日、20歳から24歳までの4人の女性たちがベトナムから北上市にやってきました。その目的は好きな日本で外国人技能実習制度の3年間を利用して働きながら、日本人の働き方を学ぶとともに、家族の暮らしも助けたいという想いから。

▲入社式にて。写真左よりレー ティ キム トゥ―(20歳)さん、グエン ティ クィン ニュー(22歳)さん、ブイ ダン ヌー キム クック(23歳)さん、グエン ティ ビック ガン(24歳)さん

 

4人のなかで一番年上のグエン ティ ビック ガン(24歳)さんは、リーダーとしてみんなをまとめる頼もしい存在。料理づくりが大好きだという彼女は、地元で「和食レストラン」を開くのが夢だそう。「3年間で日本人の仕事のやり方はもちろん、日本語もしっかり勉強したい」と意欲的です。

 

北上市に来て「初めて見た雪に感動した」というブイ ダン ヌー キム クック(23歳)さんも、料理づくりが大好き。将来は地元で「ブックカフェ」をオープンしたいそうで、休日は「みんなと料理をつくる」時間を楽しみながら、今後は北上市のさまざまな文化活動にも参加。見聞をひろめていきたいとのこと。

▲4人が暮らす寮での様子。この日は「キタカミデリカ」のスタッフ(技能実習指導員)さんと一緒にベトナム料理を堪能。

 

初めて会社に出社した日、「たくさんのヒトが出迎えてくれたことがうれしかった」というグエン ティ クィン ニュー(22歳)さんは、ベトナムで「美容院」を開くのが夢。そのため将来の接客の仕事に役立てようと、日本人の“おもてなし”を学ぶべく休日は日本語の勉強はもちろん、ショッピングに出かける時間を楽しみに。また、今後は北上市の名所めぐりもしてみたいとのこと。

▲入社式の記念撮影。4人は前列中央に。

 

「北上市で見た桜がとてもキレイで感動した」というレー ティ キム トゥ―(20歳)さんは、地元で将来コンビニを開き、家族のために家を建てることが夢。4人のなかでは一番年下ですが、北上市では「お花見もしてみたい、野菜も育ててみたい、釣りもしたい」とやりたいことがいっぱいの好奇心旺盛な女子です。

 

 

現地で出会った4人。しっかりとした丁寧な挨拶に感動。

 

そんな4人を迎え入れたのは、北上市内にある食品加工工場「キタカミデリカ」。東北6県のスーパーマーケットを中心としておよそ50社に、365日24時間体制で1日およそ7万個のサラダやお総菜を届けている同社では、昨年、藤井達也社長自らベトナムに足を運び、面接をしたうえでこの4人と一緒に働きたいと思ったそう。

 

「面接したみなさんは、どなたも日本で働きたいという情熱にあふれていましたが、そのなかでも特にこの4人は緊張しながらも自然な笑顔と目力があって、とても印象的でした。

 

また、質問したことに対しても素直に明解な返答をしてくれた姿勢にも大変好感がもてました。

 

そして大事な“挨拶”ですが、慣れない日本語でしっかり丁寧にしてくれたときにはとても感動しました。それと同時にしっかり丁寧に“挨拶”するという日本では忘れ去られてしまった、むしろ当たり前のことを彼女たちは私たちに教えてくれたような気がします。

 

4人に挨拶されて、こちらこそ『ありがとうございます』という気持ちでした」(藤井社長)

 

▲3月16日に北上市にやってきた4人はさっそく自分たちが働く「キタカミデリカ」へ。そこで出迎えた 藤井社長(中央)と。

 

4人が任されている仕事は、製造ラインに入って他のスタッフと一緒にサラダやお総菜をつくったり、その前の下準備をしたりすること。「新鮮な原料」と「地域の味」を大切にする同社は、安全・安心の食品づくりを徹底するキユーピーグループの一員。品質とおいしさにこだわる最先端の環境で、4人は日夜、安全・安心のサラダやお惣菜づくりを学んでいます。

 

 

周りに支えられ、仕事に、日本語に勉強の日々。その先に……

 

さて、入社して3カ月が過ぎた4人に実際に働いてみた感想を伺うと、「作業は細心の注意が必要」「注意深くやらないと」といった言葉が聞かれ、毎日の仕事に真摯に向き合っている様子が伝わってきます。

 

また、現場の様子を伺うと、わからないことも「みなさん丁寧に教えてくれる」「助けてもらえる」そうで、だからこそもっともっと周りとコミュニケーションを深められるように、「少しでも早く日本語を覚えたい」と4人は口を揃えます。

 

その想いは「キタカミデリカ」でも同じ。今まではコロナの影響でなかなか実現できなかったそうですが、今後は日本語教室を開いたり、日本や北上ならではの季節の行事を体験できるようなイベントも企画したいとのこと。今できることとして、まずは日々の暮らしや仕事に活かせるように、ベトナム語と日本語を併記したイラスト入りのシートを毎日作成して、4人の日本語勉強を会社としても応援しているそう。

 

▲4人をサポートする「キタカミデリカ」のスタッフ(技能実習指導員)さんと。

 

「3年後、ここを巣立っていく彼女たちが夢に向かって歩む道のりのなかで、キタカミデリカで過ごした時間が大きな財産となるように、少しでもお手伝いできたら大変幸せなことだと思います。

 

そして彼女たちには将来に向け、ベトナムとキタカミデリカの人材交流がさらに活発に行われる大きなきっかけ(架け橋)になっていただくことを心から祈念しております」(藤井社長)

 

今年3月、夢を抱き、海を越えてベトナムから日本にやってきた4人の女性たち。そのキラキラした眼差しが見つめる未来には、多くの可能性が詰まっています。

 

 

株式会社キタカミデリカ

岩手県北上市相去町大松沢1-89
Tel/0197-67-3903

◇「株式会社キタカミデリカ」については、「きたかみ仕事人図鑑」でもご紹介しています。詳細は、こちら