働く/まちのインタビュー

ヤサイノイトウ 伊藤修二さん

宮城県仙台市出身で、2016年に北上市に移住した伊藤修司さん。「人にとって大切な食に関わり、喜んでもらえる仕事をしたい」と、20年間勤めた陸上自衛隊を辞め、奥様の実家がある更木地区で農業を始めました。現在は、70アールの畑を耕し、固定種にこだわった無化学肥料・無農薬の野菜栽培に取り組んでいます。

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花びら

高齢化が進む地域の農業に、
少しでも役に立ちたくて。

農業を生涯の仕事にしようと決めた時、出身地である仙台と北上のどちらでやろうか迷っていたんです。 妻の実家がある更木地区では、高齢の義母が一人暮らし。月に一度は様子を見に帰っていたのですが、普段は地域の方々が義母の病院通いに付き添ってくれたり、買い物を手伝ってくれるなど、ご近所のあたたかさや優しさに随分助けられました。
でも、地域自体は過疎化が進んでいて、若い人も少なく、農業をしているのはお年寄りばかり。そんな現状を見て、ここで農業を始めるほうが地域に恩返しできるのではないかと思ったんです。休耕している農地も多かったので、地域の方の紹介でスムーズに土地を借りることができたのもありがたかったですね。

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「伊藤さんの野菜はおいしい」、
喜んでもらえることが幸せ。

農業は全くの素人でしたから、宮城県で有機栽培に取り組む農家で1年間研修した後、北上市の青年就農給付金を活用して就農しました。私のスタイルは、無化学肥料・無農薬栽培。発酵鶏ふんを堆肥として入れていますが、そこに生育する雑草とも共生しながら、

伊藤修二さんの画像
伊藤修二さんの画像

豊かな生態系を保つことを土づくりの基本にしています。普通、雑草は邪魔にされるものですが、野菜が負けない程度に刈り取って土に還せば、微生物が分解し、自然に土を肥やしてくれる。そのせいか「伊藤さんの野菜はおいしい」と言ってくれるお客様が多く、わざわざ畑を見に来て買ってくれる方もいますね。

伊藤修二さんの画像

市内には無農薬栽培の農家が5、6軒ありますが、商売敵というよりは仲間であり同志。自分の顧客でも畑にないものは他の農家さんを紹介しますし、一緒にイベントをやって自分たちの野菜づくりを知ってもらうきっかけをつくっています。ガツガツしていない感じが、このまちのいいところじゃないかな。

あなたにとって北上はどんなまちですか?

とても暮らしやすく、優しい人が多いまちだと思います。移住でも農業でも新参者ですが、そんな私を地域の方々はあたたかく見守ってくれますし、助けてくれます。生活面でも、物質的な豊かさよりも心の豊かさのほうがどれほど大切か、教えてくれたまちでもあります。仙台とは違う魅力を感じますね。

伊藤修二さん イラスト
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豊かな暮らしの尺度は、
お金やモノで計れない。

北上に移住して大きく変わったのは、精神的なストレスがなくなったこと。自衛隊に勤めていた頃は、平日働いて土日にリセットするという生活パターンでしたが、農業を始めてからは休みがほしいと思わなくなった。すべて自分で考え完結する仕事ですから、やり甲斐と達成感がありますし、好きなことで遊んでいる感覚に近いかもしれません。
それと、豊かさの尺度が変わりましたね。仙台はモノもたくさんあって、お金を使って生活するぶんには便利ですが、北上は暮らしの充実感が全然違う。作物を育てる喜び、仕事の手応え、地域の人々やお客様とのつながりなど、お金では計れない豊かさがあることに気づきました。
北上は工業のまちというイメージが強いのですが、素晴らしい自然があって農業の環境にも恵まれています。北上ならではの新規就農者のサポート体制がもっと充実すれば、移住して農業を始めたいという人も増えてくるのではないでしょうか。

畑の様子

新規就農者のための
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