KITAKAMI NEWS
展勝地の桜で染めたハンカチが最高賞を受賞
(広報きたかみ令和4年3月25日号転載)
展勝地の桜で染めたハンカチが最高賞を受賞
佐藤 敏孝さん
さくら染めに熟達する佐藤敏孝さん(71歳) が代表を務める鍜冶町の呉服店「さくら染家・和の衣さとう」。
同店が出品したタオルハンカチが、第62回全国推奨観光土産品審査会の民工芸部門で経済産業大臣賞に輝きました。
タオルハンカチは愛媛県今治市産の生地に同市の織元が桜の形を刺繍したデザインで、開園100周年を迎えた展勝地の桜を染料に使用しています。
審査会には二度出品しており、三度目にして初の最高賞を手にしました。
受賞を知ったときは「驚いたが嬉しかった」と話し、「大事に保管する人も多いが、もったいないと思わないでどんどん使ってほしい」と目を細めます。
佐藤さんが同店で働き始めたのは昭和51年のこと。
都内に就職していたものの、父の友人からの求めもあり25歳で帰郷。
父の後ろ姿を見て仕事を覚え、二代目として家業を継ぐことになりました。
地元のシンボルである桜を染料として使うことを構想したのは40代の頃。
その後、2年間にわたり関東の工房で草木染めの修業を重ね、着物の桜染めを平成10年に開始。
タオルハンカチには平成27年に着手し、現在はマスクやショール、ネクタイなど約10品目を販売しています。
桜の染料は、色素が多くなる開花前の3月に落ちている枝を収集し、皮と幹を煮立てて抽出します。
「初めはイメージする桜色に染められなかった」と振り返る佐藤さん。
試行錯誤の末、細かく切った枝を3カ月ほど天日干しにしてから煮立てるなど、独自の手法を確立しました。
信念は顧客のために努力を惜しまないこと。
「これからは世界中の人にタオルハンカチを使ってもらいたい。そして展勝地の名を広めていきたい」と思いを語りました。