KITAKAMI NEWS

【20代の肖像】vol.16 生き方の選択肢をひろげたい。「たこ焼き屋」のその先へ。

2021年6月10日

きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑

 

生き方の選択肢をひろげたい。
「たこ焼き屋」のその先へ。

 

~vol.16菅原 光一 (すがわら こういち)23歳~

 

 

クラウドファンディング大成功! めざすは……。

 

たこ焼き専門店「笑門(わらかど)」が6月中のオープンに向けて、クラウドファンディングに挑んだのが5月1日。目標金額の100万円を達成したのは、その17日後。期間終了まで14日を残しての快挙に、CP(キャプテン=店長)見習いとして同店を任される菅原光一さんは何を思うのでしょうか。

 

「こんなに早く達成できるとは思っていなかったのでビックリしました。と同時に僕たちの挑戦に“共感”してくださる方がこんなにもたくさんいると知って、責任というかプレッシャーというか……。改めて『がんばらなきゃ!』と思いました」

 

 

▲「笑門」のクラウドファンディングは支援者135名、達成率143%でゴール! 「がんばってね」などたくさんのエールに「僕自身励まされました」と菅原さん。

 

クラウドファンディングで多くの“共感”を集めた「笑門」のコンセプトは2つ。

 

まず1つは店名の由来「笑う門には福来る」の言葉通り、美味しいたこ焼きを通して老若男女を問わず、幅広く地域のヒトに“笑顔”と“小さな幸せ”を届けること。

 

2つ目が北上市で「輝きたい! チャレンジしたい!」と思っている若者たちがやりがいを持って楽しく働き、お客さまとの交流を通して人間力を養っていける場をつくること。

 

同店のオーナー・ナガオカツトムさん(「感動企画」代表)は、九条ネギを栽培しながら週末は餃子とツマミが美味しい居酒屋「GYOTEN」を切り盛りするなど、「食は1番のエンタメ」をモットーに「タネを蒔くところからヒトの口に入るまで」をプロデュースし、お客さまに笑顔を届けたいとチャレンジしている方。

 

そんなナガオカさんは、「笑門」に寄せる想いを次のように語ります。

 

「『食は1番のエンタメ』というコンセプトも、店名に込めた“食”を通じてお客さまに笑顔を届けたいという想いもGYOTENと同じです。

 

ただ2店舗目については、たこ焼き屋というのは自分がずっとやりたかったことですが、すでにGYOTENで自分はお店に立ってやっているので、違うチャレンジをしたかった。そこで、せっかくやるなら若いヒトに店を任せて、どんどんアイデアも出してもらって、お客さまと一緒に楽しい店をつくっていってもらえたら面白いと思ったんです」

 

そんなナガオカさんの考え方が菅原さんの“やりたいこと”と共鳴して、「たこ焼き屋 笑門」がオープンすることに。

 

さて、菅原さんが“やりたいこと”とは?

 

▲「笑門」の店内にて。右が同店のオーナー・ナガオカツトムさん。鮮やかな黄色は同店のシンボルカラー。

 

▲店の改装もできるところは自分たちで。クラウドファンディングに挑戦中、菅原さんは進捗状況をfacebookで毎日発信し、「笑門」にかける想いを伝えました。

 

▲「笑門」では本場・大阪で定番の銅板を採用。鉄板に比べ熱伝導率が高く、早く温まるのが特徴。表面はカリッと、中はトロッとした本場のたこ焼きを楽しめるとのこと。

 

 

 

生きづらさを抱えているヒトたちへ……。

 

「僕は大学を卒業して東京のイベント会社に勤めたんですが、コロナの影響で仕事がなくなり、昨年4月に北上市に戻ってきました。そのあと障がい者の方の就労支援を行う施設で働かせていただいたんですが、そのつながりからひきこもりの方やそのご家族に寄り添う“ワラタネ”の活動もお手伝いしています。

 

そこで出会った方々のお話をうかがっていると、学校や職場で人間関係がうまく築けないとか、職場にうまくなじめないとか、誰にでも起こりうることが原因になっていて、そういう悩みとか苦しみは決して他人事ではないと思いました。

 

しかも、学生は学校に通うこと。社会人は会社に勤めること。それが一般的には“普通”なことで、でもその“普通”の生き方にハマらないヒトはハジかれてしまったり、“普通”でいようとがんばっているんだけど苦しい思いをされていたりするヒトが多くいることを知って、それをなんとかしたいと思ったんです。

 

では僕ができることはなんだろうと考えたとき、生き方の選択肢をひろげることだと思った。“周り”に合わせるのではなく、“普通”からはみ出してしまうことを恐れるのでもなく、もっと自由に“自分が面白い”と思える生き方をできるような街にしていきたいと思ったんです」

 

そのためにまず自分を変えようと思った菅原さんは、自分がそういう生き方を実践していこうと決意。『食は1番のエンタメ』という自分の信念に基づき、“自分が面白い”と思う方向に突き進むナガオカさんの行動力とその考え方も“面白い”と刺激を受け、あえて会社には属さずナガオカさんと一緒に「笑門」を“面白い”場所にしていく道を選択したのでした。

 

そして、「笑門」で培った経験をいつか……。生きづらさを抱えているヒトたちはもちろん、これから世に出ていく若いヒトたちが居心地のいい空間を、いろんな生き方を応援し、そっと背中を押してあげられるような居場所をつくりたいと菅原さんは語ります。

 

菅原さんがそういう生き方を意識するようになったのは大学2年の頃……。

 

 

▲「接客業が好き」な菅原さんは、いつか自分の店を持つのが目標。今回はゼロから店づくりを学べるため、すべての経験が将来の財産に。

 

▲ナガオカさんと一緒に業者さんと打ち合わせ。こうした経験も……。

 

▲上は「GYOTEN」を舞台に、ひきこもりの方の親御さんとお酒を飲みながら語り合うイベントの準備の様子。おもてなしの料理やお酒をつくるのは菅原さんの役目。下は日曜日の朝に行っている「勝手にごみ拾い」の様子。北上市、奥州市など各地で仲間と楽しくゴミ拾いを実践。

 

 

いろんなヒトが自分らしく、楽しみながら挑戦できる街へ。

 

 

「ずっとプロ野球選手に憧れていて、大学でも野球漬けの毎日でした。19歳の頃なんですけど、野球の遠征で四国に行ったとき、休憩時間にみんなで川遊びをしたんですよ。そのとき、すごく仲良くしていただいていた先輩が亡くなって……。

 

それが衝撃というか、すごく死を身近に感じて……。それからですね、『ヒトって簡単に死ぬものなんだ』と思い知らされて、自分の生き方について真剣に考えるようになったのは」

 

大学時代に仲の良かった先輩を亡くしたこと。コロナの影響による離職とUターン。そして、福祉施設で働いていたときのさまざまな出会い……。そうした経験を経て、今までは気づけなかった生きづらさを抱えている多くのヒトに、『苦しまなくていいよ』『いろんな生き方があるよ』と言ってあげられるヒトになりたいのだと、菅原さん。

 

そんな未来の自分への第一歩が「笑門」からはじまります。オープンは6月12日(土)。

 

地域に寄り添い、“食”を通してお客さまに笑顔を届けるために。いろんなヒトが自分らしく、楽しみながら挑戦できる街へ。菅原さんがつくるたこ焼きには、そんな想いも詰まっています。

 

▲諏訪神社の並びにある「笑門」は黄色い外観が目印。

 

▲だし汁がしっかり効いた美味しいたこ焼きをどうぞ!

 

▲オープンは6月12日(土)11:00から。菅原さんの挑戦がはじまります!

 

 

 

菅原 光一さんが働くお店:たこ焼き 笑門(わらかど)

 

2021年6月12日(土)11:00オープン!!

 

 

岩手県北上市諏訪町1-3-10
Tel/0197-75-1693
営業時間/11:00~19:00
定休日/月曜日