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【市民ライター投稿記事】地域での外国人留学生の受け入れを考える ~北上市と専修大学北上福祉教育専門学校の取り組みから~

2026年8月17日

市民ライター 安藤 拓也

 

 

最近、北上でもコンビニや飲食店で外国人の店員さんを見かけることが珍しくなくなってきたと感じていました。彼らはどこから来て、普段は何をしているのだろう――そう思っていたとき、専修大学北上福祉教育専門学校(KTS)福祉介護科に、今春29名の外国人留学生が入学したと伺いました。外国人留学生が入学していること自体は知っていましたが、今年は入学者44名のうち66%を占めており、大幅な増加となっています。そこで、その背景についてKTSの先生方に話を伺うとともに、実際に留学生へのインタビューも行い、今後の地域における外国人留学生、さらには外国人労働者との関わりについて、あらためて考える機会になればと思い、この記事を書きました。

 

 

現在の日本では、介護分野はもちろん、多くの職種で外国人材が活躍しています。KTSでは平成30年から、ベトナム人留学生2名の受け入れを開始しました。その後、毎年数名ずつ留学生の受け入れを進めてきましたが、9期目となる今年は、ネパールから27名、インドネシアから2名の計29名と大幅に増加しました。その背景には何があったのでしょうか。KTS校長の六本木先生と、副校長の白澤先生にお話を伺いました。

 

 

まず、北上市には留学生の学びと生活を支える制度が充実しているそうです。2年間で96万円の補助が受けられる「北上市介護人材養成補助金」、また、北上市外から市内の学校へ、下宿や賃貸住宅、学生寮などを利用して通学する場合、2年間で24万円の補助が受けられる「北上市下宿等補助金」の制度があります。この2つの制度は、条件を満たせば誰でも利用できますが、外国人留学生にとっても大きな支えとなっています。

 

 

これに加え、岩手県社会福祉協議会では、2年間で最大168万円を無利子で借りることができ、県内の施設で3年間勤務すると返還が免除される「介護福祉士修学資金」なども、外国人が活用できるようになっています。これらを利用するには留学生の連帯保証人が必要となりますが、今年度からは、留学生全員の連帯保証人を、KTSを運営する学校法人北上学園が引き受けることになりました。これが、留学生増加につながっているそうです。

 

 

 

 

外国人留学生の受け入れはKTSだけの話ではなく、全国の介護福祉士養成施設全体でも、学生の約55%が外国人留学生だそうです。先日、KTSでは、市内や県内の高齢者福祉・障がい福祉に関わる施設や事業者を対象に、「外国人留学生採用まるわかり説明会」を初めて開催しました。説明だけでなく、実際の留学生の授業の様子を見学したり、すでに受け入れを実施している施設の話を聞いたりすることができ、参加した施設や事業者からも好評だったとのことでした。

 

 

では、実際に学んでいる留学生たちは、どのようなことを考えているのでしょうか。そこで、アンケートとインタビューを実施しました。
まず、今年入学した留学生に、アンケート形式で質問に答えていただきました。質問内容は以下のとおりです。

 

・日本に来てどれくらいになりますか。また、日本での生活には慣れましたか?

ネパール語: तपाईँ जापान आउनुभएको कति भयो? अनि, यहाँको जीवनशैलीमा भिज्नुभयो त?

 

・日本での生活で、一番「びっくりしたこと」や「困ったこと」は何ですか?

ネパール語: जापानको जीवनमा तपाईँलाई सबैभन्दा “अच्चम लागेको” वा “गाह्रो भएको” कुरा के हो?

 

・普段、アルバイトは何をしていますか。(または、これからする予定ですか。)

ネパール語: तपाईँ अचेल के काम (पार्ट-टाइम जब) गर्नुहुन्छ? (वा, अब गर्ने विचार छ?)

 

・休みの日や自由な時間は、どのように過ごしていますか?

ネパール語: बिदाको दिन वा फुर्सदको समयमा तपाईँ के गर्नुहुन्छ?

 

・介護福祉士の専門学校での授業はどうですか。難しいところはありますか?

ネパール語: केयरगिभर (केयरवर्क) कलेजको पढाइ कस्तो चल्दैछ? केही गाह्रो भइरहेको छ?

 

・将来、日本の資格(介護福祉士)を取得したら、ずっと日本で働きたいですか。それともネパールに戻りたいですか?

ネパール語: भविष्यमा जापानको केयरगिभर लाइसेन्स लिएपछि, जापानमै काम गरिरहने विचार छ कि नेपाल फर्कने योजना छ?

 

 

もちろん、私はネパール語ができないため、オンライン翻訳の力を借りました。同様に、インドネシア語にも翻訳してアンケートを作成しました。皆さん、日本に来て平均2年ほどとのことでしたが、日本語でびっしりと回答を書いてくださいました。しかも、多くの方が漢字もきちんと使って提出してくださいました。ただ、インタビューでも話題に上がりましたが、やはり漢字は難しいようで、ときどきひらがなになってしまうこともあるそうです。

 

 

後日、このアンケートをもとに、5名の留学生の皆さんにお話を伺うことができました。お話を伺ったのは、いずれもネパールから来たアニルさん、プスパさん、チャンダニさん、ケシャブさん、ラシュミさんです。

 

 

 

 

まず、日本に来て「びっくりしたこと」について詳しく伺うと、皆さんが口をそろえて挙げたのが、「時間を守る」「街がきれい」という点でした。電車やバスが時間どおりに来ること、ネパールでは約束の時間に20分ほど遅れることはよくあること、そして日本ではごみの分別がとても細かいことなどが印象に残っているそうです。

 

 

そして、私が一番驚いたのが、「日本人は他の言語をあまり話せない」という回答でした。実は、彼らは母国語のネパール語のほかに、英語やヒンディー語も使えるのです。さらに今は日本語も学んでいるので、4か国語を操ることができるわけです。英語を中学校から大学まで学んでも、ろくに会話もできない私からすると、2年である程度日本語で会話できる留学生の皆さんには頭が下がります。アンケートでも、休みの日や自由時間の過ごし方として「勉強」と書いている方が多く見られました。もちろん、勉強ばかりではなく買い物や家族との電話でリフレッシュしながら過ごしているようですが。

 

 

一方で、困ったことのトップはやはり「日本語」でした。介護に関する専門用語には難しい漢字が多く、それに加えてカタカナ語もあるため、大変だそうです。先日、留学生の皆さんは初めての実習に行ってきたそうですが、毎日、実習の記録を書かなければならず、とても苦労したとのことでした。また、実際の介護現場での声かけ、たとえば入浴介助や食事介助の際のやり取りも、当然ながら日本語で行うため、難しかったそうです。もちろん、留学生の皆さんは、ネパールでは高齢者施設や利用者と関わる経験がなく、認知症の高齢者と接した経験も少ないため、それらも大きな壁になっているようです。ただ、アンケートでは多くの方が「社会や人の役に立ちたい」という思いから介護の仕事を志望していると答えており、ぜひ頑張ってほしいと感じました。

 

 

さらに、皆さんが困ったこととして挙げたのが、「アルバイト」でした。現在も多くの留学生が、市内のコンビニや飲食店でアルバイトをしています。しかし、意外にもアルバイト先での受け入れが必ずしも順調とは限らないそうです。大都市圏を中心に外国人店員を見慣れている私にとっては、意外な回答でした。やはり、指示がうまく伝わらないなどして、トラブルになることもあるそうです。

 

 

コンビニでアルバイトしている方は、たばこの種類が多いため、対応が大変だと話していました。私は喫煙しませんが、コンビニで前のお客さんがたばこを買う様子を見ていると、確かに大変そうだと感じることがあります。また、飲食店で親子丼やかつ丼などの調理をしている際には、味覚の違いに戸惑うこともあるそうです。ネパールでは辛い物や酸味のある物を好む人が多いそうで、日本の味付けとの違いに苦労する場面もあるようです。

 

 

そして、専門学校卒業後について、「日本に残りますか。それともネパールに帰りますか」と尋ねると、多くの方が「長く日本で働きたい」と答えていました。中には、しばらく日本で働いた後、ネパールに帰って介護事業を立ち上げたいという方もいれば、ずっと日本で働きたいという方もいました。奨学金などを借りている方は、返済や免除の条件との関係で、一定期間日本で勤務する必要がある場合もあると思いますが、多くの方が日本の介護を支えてくれることに、感謝の気持ちを覚えました。

 

 

北上市内で働いている外国人は、留学生のアルバイトだけではありません。さまざまな業種で働き手が不足する中、外国人との関わり方について、私たちもあらためて考えていかなければならないと感じました。

 

 


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