KITAKAMI NEWS
「20代の肖像」vol.69 “仲間”を誇りに。「千紫万紅」に想いを込めて。

“仲間”を誇りに。
「千紫万紅」に想いを込めて。
vol.69 千田 陽仁(ちだ あきひと) 20歳
全国で花を咲かせる“仲間”を誇りに。
千紫万紅(せんしばんこう)。
その言葉は、色とりどりの花が咲き乱れている様子を表現しています。来年、1月11日(日)に北上市で開催される「20歳のつどい」の実行委員長を務める千田陽仁さんは、高校生の頃から北上市は高校卒業後県外に出る生徒が多いと感じていたそう。

「実行委員は20名くらいいるのですが、半数以上が山梨県だったり東京都だったり、県外の大学に通っていて、実行委員の活動にはリモートで参加してくれています。今回、実行委員になってみて、改めてみんな全国各地で元気にがんばっていることを実感できて、『20歳のつどい』のテーマは『千紫万紅』という言葉がぴったりだと思ったんです」
北上市では一般の方から募集した実行委員が主体となって「20歳のつどい」のイベントを企画運営しています。メンバーは「20歳のつどい」の主役となる「20歳」の方を中心に、来年度の主役となる「19歳」の方と前年度に主役だった「21歳」の方もサポート役として参加しており、毎回テーマも自分たちで話し合って決めています。
今年度は陽仁さんが提案した「千紫万紅」という言葉の意味に共感の輪がひろがり、同じように人気の高かった言葉と組み合わせて、「千紫万紅~next heroes~」というテーマに決まりました。

▲月1~2回行われる実行委員会のミーティングには、市の担当者の他、県外にいる実行委員もリモートで参加。
「地元に残っているヒト、全国各地に出て行っているヒト……、行った先々で、それぞれの場所で、がんばっているみんなの様子を花に例えて、いろんな場所でそれぞれの夢が大きく花開くといいなと思って(笑)」
そんな実行委員たちの願いを込めた来年1月11日の「20歳のつどい」は、楽しみな仕掛けを準備しているそう。今までは「20歳」になるみんなが通っていた中学校の先生が出演するビデオメッセージを会場で鑑賞し盛り上がっていましたが、今年度は……。さらに、「next heroes」というテーマを彩る企画として、大きな夢に挑んでいる北上市の「20歳」をフィーチャーした企画も……。
「イメージとしては、“ボクたちのヒーロー”みたいな感じです(笑) 今、next heroesとしてみんなの前で話をしてくれる方を選んでいるところですが、候補の顔ぶれを見ると北上市にもいろんな分野で大きな夢に向かってがんばっているヒトがいるんだなと思ってうれしくなります。どんな話が聞けるのか、楽しみです!」
実行委員長を務める陽仁さんもワクワクしていますが、そのご本人も夢に向かってがんばっているnext heroesでした。

▲令和6年度の「20歳のつどい」の様子。盛り上がった「先生からのメッセージ」。
“奉仕”の楽しさを教えてくれた先輩たち。
地元の高校を卒業した陽仁さんは、仙台市にある企業に就職し、測量などの仕事をしていました。仙台という街での暮らしも新しい仕事も充実していたそうですが……。
「高校時代からお世話になっている先輩が国家公務員として検察庁で働いていて、会うたびに仕事の話をよく聞いていたのですが、仕事に取り組む姿勢とか、利益のためではなく国民のために精一杯働いているところとか、すごく“かっこいいな”と思って(笑) 国民全体の奉仕者として“奉仕”を追求する先輩の姿勢に惹かれたんです」

その想いが募って、陽仁さんは昨年末に退職。北上市に戻り、アルバイトをしながら国家公務員になるための勉強に励みますが、陽仁さんの近くには“奉仕”を追求する先輩がもうひとり……。
「ボクは稲瀬という地域に住んでいるのですが、稲瀬の自治会長をやっているのが祖父なんです(笑) 稲瀬では地域の行事を大切にしていて、夏祭りはもちろん、年末にはお寺に集まったり、みんなで草刈りのボランティアをしたり……。そういう行事があるときには実行委員が主体的に動くのですが、祖父に誘われればボクも手伝いに行きますし、行事にもよく参加して楽しんでいます」
実は『20歳のつどい』の実行委員に参加したのも祖父から『北上市でこんな取り組みあるよ』と紹介されたのがきっかけです(笑)」

▲稲瀬地区で行われた盆踊りの様子。提灯の明かりに誘われて三々五々集まり、踊りを楽しむ地域のヒトたち。
稲瀬地区では多くの行事があるため、地域のなかでみんながお互いを知っており、小さい頃からおじいさんおばあさんに会うと挨拶するのは自然なこと。地元を離れて久しぶりに顔を合わせても「陽仁くん、大きくなったねえ」と当たり前のように声をかけてくれる距離感が、陽仁さんは大好きだそう。
そうした地元の良さに改めて気づかされたのは、高校を卒業し、仙台で働くようになってから。
「地域のつながりもそうですし、例えば北上市だと小学生が横断歩道を渡り終えるとお辞儀をするんですけど、そういうのは他の地域では見かけないので、住んでいて気持ちいいというか、あたたかい気持ちになれるというか……。やっぱり『北上はいい街なんだな』って仙台で暮らしてみて改めて気づくことができました。
仙台で働いているときは北上によく帰ってきていたんですよ。新幹線で1時間もかからないので、休みの日に帰ってきて、友達と魚釣りに行ったり、キャンプをしたり……。ボクは料理をするのも好きなので、釣った魚をさばいて、みんなで食べたりして楽しんでいました」
そんな日々を過ごしているうち、陽仁さんにも新たな夢が……。

▲アウトドア好きの陽仁さん。仙台で働いていたときも、休日は北上市に戻り、友達とアウトドアを楽しんでいたそう。

▲7人家族の陽仁さんは料理が趣味で、家族の晩ご飯もつくるほど。キャンプ飯はもちろん、友達と釣った魚をさばくのもお手の物。
外での経験を糧に。いつか地元に……。
「ボクとしては、“奉仕”を追求する国家公務員としてさまざまな経験を積みながらお金を貯めて、いつか北上市に戻って、地域を盛り上げるような“何か”で起業したいと思っています。
周りを見ると自分の趣味を仕事にしているヒトもいて、すごいなって思うんですけど、今のところボクにはそういうものがまだないので……。まずは外に出て、憧れの仕事で経験を積むことですね。正直、国家公務員は給料とか福利厚生もいいので、起業のためのお金も貯めやすいんじゃないかという計算もあるのですが(笑)」

笑顔で新たな夢を語ってくれた陽仁さん。国家公務員の試験に合格するため、夜は「料理好き」という特技をいかして居酒屋の厨房でアルバイトしながら、昼は独学で勉強する日々を過ごし、今年の試験では1次・2次と順調に突破。残すは希望する官庁での採用面接を残すのみ。
「とりあえず試験は終わっているので、今は夜のアルバイトを辞めて、学童保育のお手伝いをしています。知り合いの方から声を掛けられたんですが、ボクも子どもが好きなので、そこで楽しく働かせてもらっています」
独学で国家公務員になるための勉強をしながら、アルバイトで「好きなこと」の経験もひろげている陽仁さん。その経験が「いつか地元で」という新たな夢への糧にも……。

▲来年1月11日の本番に向けて、着々と準備を進める実行委員。メンバーは保育園からの幼馴染や、中学・高校の同級生もいて、率直な意見が飛び交いながらも和気あいあいとした雰囲気。
最後に陽仁さんに実行委員長としてどんな「20歳のつどい」にしたいかと尋ねると……。
「地元でがんばっているヒト、全国各地でがんばっているヒト、そんなみんなが地元に集まる大切な機会なので、『北上市っていい街だよね』とみんなが実感できる『20歳のつどい』にしたいですね」
地元を離れてみて、改めて「北上市の良さ」に気づくことができた陽仁さんの実感のこもった言葉でした。
「千紫万紅」に想いを込めて……。来年1月11日の「20歳のつどい」では、会場に色とりどりの花が咲いていることでしょう。

▲「20歳のつどい」を盛り上げるべく、「最高!」を意味するメロイックサインで決めポーズ!

▲リモート参加したメンバーも決めポーズ! 山梨と東京からの参加、お疲れさまです!
千田陽仁さんが実行委員長を務める取り組み:
北上市「令和7年度 20歳のつどい」

開催日時:2026年1月11日(日)13:00~14:30
会場:北上市文化交流センター さくらホールfeat.ツガワ
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