KITAKAMI NEWS
【市民ライター投稿記事】フルートとの出会いが導いた奇跡 ~少女が母と夢を追い続ける今~

静かに絵本の世界に没頭し、穏やかな性格だったという幼少期の梨奈さん。
母・瑠美さんは「走り回るより、想像の世界で楽しむ子でした」と目を細めます。

▲5歳 幼い頃からすごく美人さん♡

▲妹亜美さん(左) 元気な亜美さんと穏やかな梨奈さんは性格が真逆だけどとっても仲良し♪
「偶然の出会いだったフルートが、こんなにも人生を形作るなんて思いませんでした」
現在、梨奈さんはプロのフルート奏者を目指して東京で研鑽を積んでいます。
その道のりは、親子で支え合いながら歩んできた時間そのものでした。
【1】練習と勉強の両立に苦しんだ中学生時代
梨奈さんがフルートと出会ったのは、小学校の吹奏楽部。
たまたまパートに空きがあり、軽い気持ちで手にした楽器が、梨奈さんの心を大きく揺さぶりました。
練習を重ねるほどに音の奥深さに魅せられ、「もっと上手くなりたい」と願うように。
しかし、中学に進むと勉強と部活動の両立に悩む日々が続きます。
疲れて帰ってきても、毎日の練習を欠かさない。そんな姿を支えたのが家族の協力です。
・テレビをつけず静かに過ごす
・どんなに忙しくても梨奈さんと「お話をする時間」だけは欠かさない
「がんばりなさい、ではなく、一緒に考える。私は“伴走者”でいたかったんです」
母の言葉は、梨奈さんの心の支えとなりました。
母として、そして伴走者として、梨奈さんの心に寄り添い続けたのです。
【2】東京での挑戦。理想と現実のはざまで
高校進学と同時に東京へ。
しかし、その一方で、結果の出ない悔しさに打ちのめされることも。
「たった一回の本番に、120パーセントを注ぐこと。それが1番難しくて、1番苦しい」
努力が報われない瞬間、心が折れそうになったことも。
それでも彼女は問い続けました。
「私は、何のためのフルートを吹くのか」
その問いが、彼女を前へと進ませます。

▲母は学生の頃、バスケットボール部のキャプテン! そこで培った忍耐力が梨奈さんへ受け継がれています♪
【3】悔しさを糧に掴んだ大きな成果
転期となったのは、高校2年生で挑んだ「第21回フルートコンベンション」。
思い切って大学生やプロと競う一般の部へ出場し、20分以上の曲を演奏する予選を突破。
そしてついに、、、
なんと優勝を果たしたのです…!
母は言います。
「誰よりも努力している姿を見ていたので、コンクールで成果が出た時は涙が出ました」
“悔しさ”が“糧”となり、梨奈さんのフルート人生は大きく動き始めました。

▲たった一回の本番へ向けて、日々120%の努力を欠かしません
【4】離れて気づいた地元・北上のあたたかさ
東京での日々は刺激に満ちた毎日でした。
しかし、年を重ねるごとに感じるのは「地元のあたたかさ」。
「中学の吹奏楽部の仲間と会えるのが一番楽しいんです。どんな人よりも心を許せる大切な存在」
離れても変わらない絆。
そのつながりが、梨奈さんをそっと支え続けています。

▲妹亜美さん(左) なんと、亜美さんもフルートを吹いているとのこと!家ではよく2人でフルート演奏を楽しんでいたそう♡
【5】これから描く未来。「私にしかできない音楽を」
梨奈さんの次の目標は、海外で音楽を学ぶこと。
そのために、言語の勉強や試験準備など課題は多いものの、その眼差しは前を向いています。
「現地で感じ、聴き、学ぶこと。その全てが私の音楽を育ててくれる。」
母もまた、変わらず寄り添います。
「音楽は人の心に届く最高のコミュニケーション。技術も心も健やかに育ってほしい」

おわりに――13年ぶりの再会が教えてくれたこと
実は梨奈さんは、私が幼稚園教諭をしていた時の教え子。
13年ぶりに再会し、夢に向かって羽ばたく姿を見ることができたのは、まさに奇跡のようでした。
特別に梨奈さんの演奏を聴かせてもらいました。
全身で奏でられる音は、まるで物語そのもの――
「楽器に命が吹き込まれる瞬間」を目の前で見ているようでした。
中でも母・瑠美さんの言葉が忘れられません。
「我が子のターニングポイントを見逃さないで」――
我が子が悔し涙を流した時に、親としてどう向き合うのか。
“信じて見守る強さ”の大切さを改めて感じました。
北上の小さな教室で響いていた音が、今大きな世界へとつながっている。
梨奈さんの奏でる音が、もっと多くの人の心に響くのを楽しみにしています!