KITAKAMI NEWS

考古学で古代の火山災害と社会を読み解く

2020年10月23日

広報きたかみ

(広報きたかみ令和2年10月23日号転載)

 

考古学で古代の火山災害と社会を読み解く

丸山 浩治さん

 

県立博物館専門学芸員の丸山さん(45歳・中野町)は、火山灰から当時の地域社会の変化を見る研究成果をまとめ、「火山灰考古学と古代社会 十和田噴火と蝦夷・律令(えみし・りつりょう)国家」と題し出版しました。

 

県内に堆積している火山灰には、10世紀に起こった十和田湖の大噴火によるものがあります。

この噴火は過去二千年間で国内最大級とされています。

丸山さんは、地層に積もった火山灰と遺跡の関係から、災害前後の人々の動きや地域社会の変化を研究してきました。

 

研究を始めたのは2002年から。

きっかけは、発掘を担当した遺跡で竪穴建物跡に厚く積もった火山灰を見て、「ここに住んでいた人たちはどうなったのだろう」という疑問と、将来の災害の備えとして、研究で見えてくることを発信したいという思いからでした。

「自然の仕組みは同じ。考古学にできることは過去を知ることであり、そこから未来を考えること」。

東日本大震災を経験したことで、思いがより強くなりました。

 

地質の見方は、大学時代に出会った恩師から叩き込まれたそう。

学芸員になりたくて選んだ北海道の大学で師に出会い、考古学のおもしろさを学びました。

「数千年以上前の社会や文化を、遺跡や遺物から読み解く、すごい学問だと思った」と言います。

 

帰郷し県埋蔵文化財センターで働きながらも、スキルアップのため弘前大学大学院へ通い博士号(学術)を取得。

県博物館に異動し、研究内容を特別展として展示するなど積極的に発信しています。

 

子どもの頃から歴史好き。

市立博物館によく連れていってもらいました。

今では研究がライフワークですが、休日は小学生の娘と遊んだり一緒に買い出しをしたりと、家族の時間も大切にしています。