暮らす・遊ぶ/まちのインタビュー
夏は「虹色フェスタ」、冬は「福豆鬼節分会」と、青年会が中心となり様々な活動を行っている岩崎地区。7つの行政区で構成されるこの地区は、3つの小学校の統廃合をきっかけに、2011年に青年会組織である「虹色の会“絆”」を結成。地域行事への参加率減少に悩む地域が多い中、若手住民を巻き込んで活動できる理由を、会長の小原和弘さんに伺いました。
子供たちの未来のために
私たちの今の頑張りがある。
岩崎地区には、岩崎小学校、煤孫小学校、岩崎新田小学校の3つの小学校があったのですが、2008年に一つの小学校に統合されました。それまで3地区の交流がほとんどなかったため、地域のつながりをつくろうと「岩崎地区青年会・虹色の会“絆”」を発足。会員は年々増え、現在は215名。小・中学生から50代前半までと幅広い年齢層のメンバーが参加しています。
主な活動は、毎年8月に行う「虹色フェスタ」と、2月に北上市立鬼の館と共同で行う「福豆鬼節分会」という地域イベント。青年会が企画から運営までを一手に担い、岩崎の元気を発信しています。もともとうちの地域では、全日本創作太鼓フェスティバルや夏油高原マラソン大会など大規模なイベントを開催していて、その記憶が根っこにある。だから今、私たちがイベントをやっているのも子供たちのため。私たちの活動を見て育った子供たちが、故郷に愛着を持ち、いずれは地域づくりに関わってもらえればいいなと思っているんです。
イベントの準備を通して、
地域のつながりを深めていく。
イベントで一番大切なのは、準備までのプロセスです。うちの場合、集客にSNSは一切使いません。
ラインやメールの一斉配信は便利ですが、流されて終わりでほとんど見てもらえない。だから、案内状を一つひとつ手書きして、
必ず一軒一軒回って手渡しするようにしています。とても手間がかかりますが、直接顔を合わせることで、そこにどんな人が住んでいるのかがわかりますし、しっかり案内を伝えることができる。それは集客だけでなく、災害が起こった時にも役立ちます。顔や暮らしぶりがわかっていれば、助けに行くことができますから、どんなに大変でも必ず家々を回ります。
他にもアイディアは否定しないとか、会議は1時間以内とか、可能な限り補助金には頼らないなど、うち独自のルールがいろいろあるのですが、大事なのは運営スタッフが無理をせず、楽しんで参加できること。今は暮らし方も勤務形態も様々ですから、みんなの生活スタイルに地域側が合わせていかないと成り立ちません。自分たちが楽しみ、張り合いを持って参加することで、活動を継続することができるんです。
産業面では恵まれていますが、地域生活では不便なことや課題もいろいろある。でも、だからこそ、新たなものを生み出していく力が湧いてくると思います。私たちが地域づくりを通して大事にしているのは、みんなで共有できる故郷の思い出をつくること。その体験や記憶が、子供たちの世代の新たな地域づくりにつながっていきます。
ヨソモノの多様な考えにこそ、
いいものを生み出すヒントがある。
うちの会の主要メンバーは、北上市外から婿や嫁に来たヨソモノばかりなのですが、地元の人間より地域の魅力を見つけ出すのがうまいんですよ。彼らの視点や発想から学ぶことが多いですし、課題を解決するヒントになります。地域は同じような意見を持った人間だけが集まっても、よくなりません。多様な人がいて、多様な考え方があるからこそ、いいものを生み出すことができる。虹色の会は7つの行政区から構成されていますが、虹は一つの色に交わらないでしょう?それぞれの色、個性を出しながらやっていくから、「虹色の会」。互いの良さを認め合い、尊重することで、より良い地域を育てていくことができると思いますね。